風はくるりとかざぐるまをまわし、少し触れることができます。
ここから、僕は相手と少し心を通わすことができたといえるでしょう。
しかし、どこに吹いていくのか、そのまま交わることはなくとおりすぎてしまいます。
これは久しぶりの再会とも考えられます。
また、幼き日に気持ちを伝えられないまま別れた2人の関係を歌っているとも解釈できます。
遠くへ行ってしまう君
馴染みのない町へ
幸せだから、と
急にいい人に
いつか帰ろうと決めた町ではないけど
出典: かざぐるま/作詞:一青窈 作曲:武部聡志
ここからは幼少期に別れた後の相手の境遇を歌っていると思われる歌詞。
帰ろうと決めた思い出溢れる故郷ではない新たな町で、僕とはかけ離れた生活を送っている彼女。
そして、そんな彼女に再会することができた僕。
ここで、幸せだから、いい人というどこか薄っぺらい表面的な表現に注目します。
これは僕がきっと彼女は幸せなんだろうと思い、諦めてしまった行動を示唆しているのではないでしょうか。
幸せとは具体的にどんなことでしょう。
僕が引き下がるという行動から、彼女には既に相手(恋人か夫)がいるということが考えられます。
僕は彼女の現在を壊すことはしなかった点でいい人かもしれません。
しかし、双方の本当の想いに触れ歩み出す勇気はなかったのです。
なぜ綺麗に泳げたの?
いつのまにかわり
いつのまにふたり
幸せな夢の中で
きれいに泳げたの
出典: かざぐるま/作詞:一青窈 作曲:武部聡志
いつの間にか変化していた2人。
現実とは違う、夢の中ではなぜ美しく泳ぐことができていたのか。
それは僕と彼女とのまだ幼く純真で無垢な恋心のままで時が止まっていたからでしょう。
そこではいつも心を乱されることなく、希望を抱きながら、彼女に向って泳ぎ続けることができる。
しかし、成長とともに様々な大人の事情、しがらみが生まれます。
そして心のままに彼女と結ばれることは叶わなくなってしまったのです。
風とかざぐるまの心地よい関係性
君は遠い上の存在になってしまった
ただお目にかかるため
出典: かざぐるま/作詞:一青窈 作曲:武部聡志
2番目のサビ部分。
突然お目にかかるという謙譲語に変わります。
彼女と僕には身分の差ができてしまい、彼女は手の届かない上の存在になってしまったことがわかります。
心地よく邪魔を与えない風のまま
君がまわるため
どこ吹いた風でした
くるりかざぐるま
出典: かざぐるま/作詞:一青窈 作曲:武部聡志
しかし、やさしい心地よい風によってかざぐるまはくるりとまわります。
彼女(かざぐるま)の心は揺れ動き、僕(風)の優しさに救われます。
しかし、僕はなすすべもなく、最初の別れと何も変わらず通り過ぎるだけ。
お互い思いあっている関係性は心地よいですが、それ以上進むことはできない。
そんな穏やかながらも辛い関係性が伝わってきます。