『ソルファ』を再録した理由とは?
12年前にリリースしたアルバムのすべての楽曲をそのまま再録しリリースする、ということはロックやポップスの世界ではあまり見られないこと。
ファンとしてはうれしい限りですが、『なんで再録したんだろう?』という疑問は誰もが持つものではないでしょうか。
再録版リリース時のインタビューの中で、Vo.の後藤氏が『今やったほうがもっとよくできると思った』と話しているところから見ると、二度目の『ソルファ』はアジカンのストイックさと探求心があったが故に実現したものだということが伺えます。
『ソルファ』初版・再録版のちがいは?
1.振動覚
曲の前奏が始まった時点で〝1作目と全く違う!〟と思う人がほとんどでしょう。ギター・ベース・パーカッションそれぞれの立体感が150%増しになったような感じです。
今ではライブver.として定番になっているゴッチの一声目〝サッ!!〟も2枚目のソルファにはしっかりと収録されています(嬉!)
2.リライト
冒頭の前奏がギターから始まりますが、1作目ではヘッドホン右から遠くから聞こえるように収録されているのに対し、2作目では左からダイレクトに聞こえるように変更されています。
冒頭ギターのインパクトは2作目の方がかなり強くなっていますね。 曲中間部の〝ハッ!!〟の掛け声のあとのエフェクトは2作目の方が〝日現実感〟が強い印象。この部分はMVの演出もかなり変更されているので要チェックです!
3.ループ&ループ
再録版ではかなりテンポアップしたというのがまず第一印象として違うところ。
テンポ自体は上がっていますが、ゴッチのピッチが若干低めに設定されていることで1作目よりも〝落ち着いた〟印象となっています。
曲全体のメロディーに重ねられている喜多さんのハモリが1作目よりもクリアに収録されていることで曲全体の透明感がUPしている印象もありますね。
4.君の街まで
1作目では比較的乾いたトーンで始まるベース音ですが、2作目では深みが1.5倍くらいになっている印象。〝揺らいでいるゥ〜〟から始まるゴッチの裏声部分は2作目の方が精度がアップして安定している感がありますね。
また初版ではシャウトしている感じが強く、言葉が断片的に頭に刻み込まれる感覚がありますが、再録版では横の流れが増しているせいか、フレーズとして歌詞が頭に入ってくる感じに変化しています。
2作目では曲の最後の変拍子部分〝近付いた冬の〟でシンバルを倍増しにすることでキラキラ感がアップ。どこかクリスマスを感じさせる仕上がりになっています。
5.マイワールド
初版ではゴッチがシャウトしている印象が強いですが、再録版では熟成して落ち着いた印象になっている感じです。
6.夜の向こう
この楽曲は〝自分の未熟さや繊細さ〟それに対する口惜しさを歌った曲。
初版ではアジカン等身大の感情がダイレクトに伝わってくるのに対し、再録版では全体的に熟成したサウンドによって冷静さや客観性を感じさせる印象へと変化していることが分かります。
7.ラストシーン
現実離れした浮遊感が漂う楽曲ですが、再録版では初めの前奏部分からエコーが多めになり、より広い空間を感じさせる印象へと変化していることが分かります。
再録版での変化について、Vo.のゴッチが〝再録版では口先で歌っている感じじゃなく胃や腸まで鳴ってる感じ〟と表現していますが、まさにその感じが出ているのがこの『ラストシーン』と言えるでしょう。