人間関係で悩みを抱えたこと、誰にだってありますよね。
もし人間が「ありがとうとごめんね」しか言わない生き物だったら、もっと楽な社会になっていたのかな。
「Routine」の主人公はそんなことを考えます。
たしかに人間が単純な感情しか持たない「生命体」であれば、けんかもしない世の中になっていたでしょう。
しかしそれは機械のようで、少し寂しいような気もします。
考えても仕方のないことを考えてしまうくらい、主人公はこの世界にうんざりしているようです。
ドロドロとした「影」
ドロドロと侵略していく「影」もう逃げらんないよ
どうして どうして どうしてなんて言ったって誰も分かんないんだ
どこでかで製造→消費繰り返されてるでしょ
どうせ どうせ どうせなんて言ったって 結局怖いんだ
治った傷口また開いて もう手をつけれないよ
ほら 狂った世界だ
出典: Routine/作詞:すぅ 作曲:クボナオキ
くり返していく日常の中、主人公に「影」が迫ります。
「影」はドロドロしていて、まるでまとわりついてくるかのよう。
「もう逃げらんないよ」と歌詞にもあるように、主人公は「影」に捕まってしまいます。
「影」とはきっと、主人公の心にたまった負の感情のこと。
絶望、あきらめ、嫉妬など、どうしようもできない感情が「影」となっているのでしょう。
そして主人公は思います。自分の気持ちなんて、結局誰もわかってくれないのだと。
「製造→消費」という言葉から、まるで世界が工場のようだと思えてきます。
人間を「製造」し、感情を「製造」し、それをただ「消費」していくだけの世界。
自分もそんな消耗品のひとつなのだと、主人公は感じています。
「どうせ~だろう」とあきらめを口にしたところで、恐怖は消えません。
一度ふさがったように見える心の傷は、また開いていきます。
あがいてもあきらめても、結局苦しいだけなのです。
「Routine」ではそんな「狂った世界」への絶望が歌われているのでしょう。
「生きたい」と「死にたい」の狭間でゆれる
「Routine」は1番の時点で衝撃的な歌詞でしたが、2番ではさらに悲痛な気持ちがつづられます。
生死のはざまでゆれる主人公の気持ちを見ていきましょう。
「窮屈すぎる夜」に思うこと
ごく平凡。かつ、窮屈すぎる夜はまた来る
生々しく切り開かれ闇に潜む
安心と孤独を求めあう生命体はまた
意味なんて無いのに形ばかり作ろうとしてる
出典: Routine/作詞:すぅ 作曲:クボナオキ
1番では朝の風景が描かれていましたが、2番では夜の風景になっています。
主人公は毎日来るありきたりな夜を「窮屈すぎる夜」だと思っています。
夜は1日を振り返ってモヤモヤしてしまったり、明日への不安を抱えたりしてしまうことも多いですよね。
外も暗くなって、気持ちも沈みがちです。
主人公も心の中で嫌なことやダメだったことを思い出して、気持ちがへこんでしまいます。
「生々しく切り開かれ」という言葉で、主人公がいかに傷ついているのかを表現しているのでしょう。
主人公は1番と同じように、人間を「生命体」と呼んでいます。
「安心と孤独」という矛盾したようなものを求めている人間。
意味はないとわかっていても、感情に名前をつけたり、うわべだけの関係を築いたり。
そんな人間の姿に、主人公はやっぱり絶望するのです。
手のつけられない「腐った世界」
ドロドロと侵略してく「影」もう止めらんないよ
どうして どうして どうしてなんて言ったって誰も知らないんだ
どこもかしこもしがらみ まとわりついてるでしょ
どうせ どうせ どうせなんて言ったって 結局もろいんだ
境界線越えたら急にもう知らん顔するでしょ
ほら 腐った世界だ
出典: Routine/作詞:すぅ 作曲:クボナオキ
主人公の中にある「影」が再び顔を出します。
人間とかかわろうとすればするほど、「しがらみ」や「知らん顔」に気づいてしまう主人公。
ただの知り合いでいればそんな姿は見ずに済んだでしょう。
しかし友人や恋人、家族など、深くかかわっていくほどに今までは見えなかった本性が見えてくる。
そこに恐怖や違和感を感じたことはありませんか?
人間の冷たい部分を知ってしまった主人公は、この世界を腐っていると感じます。
腐っている、ということは、もう手がつけられないということ。
食べ物が腐ってしまったら捨てるように、主人公はこの世界を捨てようと思っているのではないでしょうか。
「生きたい」と「死にたい」がせめぎ合う
生きたい 生きたいと言ったって 結局命無駄にしてんだ
どこでかで製造→消費繰り返されてるでしょ
死にたい 死にたいと言ったって 結局死ぬのは怖いんだ
拳銃押し付けられたらきっと泣き叫ぶでしょ
ほら 狂った世界だ
出典: Routine/作詞:すぅ 作曲:クボナオキ
世界を捨てようと感じた主人公は、生死の境でゆれています。
「生きたい」という気持ちはあるけど、生きていたところで無駄なのではないか。
「死にたい」という気持ちもあるけど、本当に死んでしまうのは怖い。
主人公の悲痛な思いが心に刺さります。
矛盾する2つの感情がせめぎ合い、やっぱりここは「狂った世界」なのだと思う主人公。
主人公は生と死のどちらを選んだのでしょうか。
それを考えるヒントが、タイトルに隠されていると思います。