その場しのぎの知識
生まれたてのその知識じゃ 何の役にもたたないのさ
出典: フクロウ/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
しかし、そんな風に付け焼き刃的に身につけた知識は、本当は何も意味を持ちません。
取り繕っているだけであり、本質的な知識ではないからです。
数学でいうと方程式や公式のような部分を覚えず、ただ出された問題を解くだけ。
それでは応用が利かずに、自分自身に吸収されてはいかないのです。
自分はそんな風にするつもりはないという意思表示にも感じられる1行となっています。
「フクロウ」が表すもの
見上げたその先にフクロウ
出典: フクロウ/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
そんな風に自分自身と向き合う主人公の前に姿を現した動物は「フクロウ」でした。
タイトルにもなっている、この「フクロウ」という動物が表すのは一体どのようなものなのでしょうか。
「フクロウ」について調べてみると、この歌詞におけるこの生き物の意味が分かってきます。
夜行性であるため人目に触れる機会は少ないが、その知名度は高く、「森の物知り博士」、「森の哲学者」などとして人間に親しまれている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/フクロウ
Wikipediaでは、このように説明がなされています。
首をかしげる様子などから、何かを深く考えているような印象を受けるため、このような愛称があるようです。
ここから分かることは、この楽曲における「フクロウ」が知識や思考を象徴しているということ。
1人で物思いに耽る主人公がふと見上げて見つけた「フクロウ」は何かの啓示なのかもしれません。
彼自身が探している答えのヒントが「フクロウ」という形で表されているのではないでしょうか。
未来を掴み取る
「フクロウ」と対峙する主人公
そして僕の目を見よ 歩き始めるこの決意を
出典: フクロウ/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
そんな「フクロウ」に対して、「目を見ろ」と言っているのでしょう。
この言葉は、楽曲全体の印象をガラッと変えています。
今までのどこか暗中模索するような印象を拭い去り、何かを掴み取ったような雰囲気が生まれています。
彼が何かを掴み始めたその足取りはきっと、一歩一歩踏みしめるような力強さがあるのでしょう。
そして、哲学者とさえいわれる「フクロウ」に対して、その決意を見せつけています。
悩みが晴れたような、開放感が感じられる表現です。
先人たちの道を辿る
旅立つ人の足跡で 映し出してくれ機械の音
出典: フクロウ/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
この部分の歌詞は、今までの言葉から更に難解さを増しています。
歌詞から漂う私小説的な雰囲気を考えると、この楽曲は山口一郎本人の葛藤を表しているといえるでしょう。
だとすれば、ここでいう「人」というのは音楽の先人たちのことを指しているのでしょうか。
彼らが進んでいった音楽を探求する道。
サカナクションもその後に続きながら、電子音などの新しい要素を取り入れている彼ら。
「機械」が彼らのこの先の道を、誰も成し遂げなかった音楽への道に変えてくれている。
そんな風に聞こえてきます。