実は自分も彼のことが好きではなくなっていることに気づきます。
明るい音楽を聞いて自分の気持ちを取り戻そうとする彼女。
でも結局音楽は耳に入らず、机のシミのほうが気になってしまう。
そんなとき、とうとう彼女は気づきます。
私も机のシミを探すように、彼の嫌な面ばかりを探していることに。
それなのに私は二人の関係を無理やり維持しようとしてたんだってことに。
この二人の磁力は憧れだった
あぁ あなたを大好きなあたしがいるのは
あなたにずっと憧れていたから
出典: 磁石/作曲:aiko 作詞:aiko
二人をくっつけたのは、彼女の憧れという磁力でした。
そして現在の私の好きという感情もその時の感情のまま、あまり変化していなかったのです。
見えてきた現実
匂いの散らばるジャケット
帰ってきたらいつもバツが悪そうに椅子に丸まって
膨れたポケットろくなもんじゃない
多分「それなに?」と聞くあたしもいない
出典: 磁石/作曲:aiko 作詞:aiko
脱ぎ捨てられたジャケットからは、明らかに彼女を不安にさせる匂いがします。
それも「残る」などというやさしいものではなく「散らばる」という表現が使われるほどに。
さらにいかにも怪しい膨らんだポケットからも、彼の隠し事が非常に多いことがわかります。
本来であれば疑惑の湧きそうなものは隠すものですが、見ての通り隠す気もありません。
ただ彼女ももうそれをつつく気にもなりません。
二行目にある通り、不機嫌にこちらを牽制する彼の表情。
そして問いてもろくな話が出てこないことももうわかってる。
もう聞くだけ無駄だし、現実を認識したくないという思いが出ています。
彼がもうすでに彼女に対してなんの配慮もないこと、そして彼女もすでに無関心になっていることがわかります。
自問自答する日々
繋ぎ止めていた理由に嘘が生まれ
書き直した心に浮き出したダミー
目につく思い出 薔薇色 桃色
枯れてもあの日を責めたりはできないよ
出典: 磁石/作曲:aiko 作詞:aiko
本当に好きなの?
彼とずっと一緒にいたいという想いは、もうなかったのです。
彼が離れてしまわないように自分の思いを隠し、都合のいいように書き換えてきた自分。
そんな事を繰り返していくうちに自分に問います。
私が彼を好きだという気持ちは本当なの。
一緒にいなければしあわせになれないと自分に言い続けてただけじゃないの。
そして気づきます。
彼を好きだという気持ちは、ダミーだったということに。
思い出は思い出
好きなのかどうかわからない。そんなとき頭に浮かぶのは楽しかった思い出ばかりです。
薔薇色や桃色で表す二人の思い出は、情熱的で新鮮な感情が感じられます。
良かった思い出ばかり。
でももう薔薇も桃も枯れてしまった。
終わってしまったものはもう戻らないのです。
あのときはよかったなんて言っても二人のどちらも良いことはない。
変わってしまった二人のことはもう誰にも責められません。
もう止めることのできない別れの時
あぁ あなたを大好きなあたしがいるのは
あなたにずっと憧れていたから
瞬間ときっかけがこっちを見ている
諦めと嫌いはもう抱きしめ合ってる
出典: 磁石/作曲:aiko 作詞:aiko
心の通じない二人の関係が終わるのは、もう止められません。
あこがれから始まった二人の関係。
彼女の一緒にいたいという気持ちは、ダミーだったんだと気づいています。
二人の関係が終わる瞬間が刻々と迫っていて、終わるきっかけはとは意外と些細なもの。
あなたのことを諦めてる私の気持ちと、彼の私を好きではないという気持ち。
それがすでに一致しているのですから。