歌の誕生と歴史から
ザ・フォーク・クルセダーズという希代のバンドがリリースした「イムジン河」。
まずは歌の誕生の軌跡から始めます。
日本語詞のついた「イムジン河」のうち、最もよく知られているのが1968年前後にザ・フォーク・クルセダーズが歌ったものである。臨津江 (リムジン江) で分断された朝鮮半島についての曲。
もともとは、のちにフォーク・クルセダーズの作詞を担当することになる松山猛が、松山の中学との喧嘩に明け暮れていた京都朝鮮中高級学校の学生たちにサッカーの試合を申し込もうと訪れたとき、この曲を耳にしたことがきっかけだった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/イムジン河
発売中止になったのはレコード倫理審査会の国際親善事項に触れたとされることや、これが「『朝鮮民主主義人民共和国』の歌であること」と「作詞作曲者名を明記すること」を求めた。レコード会社は国交のない北朝鮮の正式名を出すことを躊躇し、結果として発売自粛となったようである。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/イムジン河
1968年2月にリリースするはずだったシングルレコードは、突如発売中止になってしまいました。
この後、紆余曲折を経て音楽番組などで流れるようになったのは、1990年代を過ぎてから。
2002年には、ザ・フォーク・クルセダーズ名義でCD化もされたのです。
時代に翻弄はされましたが、名曲として復活を果たしました。
この後は歌詞の解説に移りますが、その前にちょっとお知らせ。
さらに松山の歌詞には、オリジナルにはない3番がある。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/イムジン河
今回はこの3番まで歌詞をご紹介しています。
「イムジン河」に込められた思いを受け止めつつ、紐解いていきましょう。
雄大なる眺め
イムジン河 水清く
とうとうと流る
出典: イムジン河/作詞:朴世永 訳詞:松山猛 作曲:高宗漢,加藤和彦
3本線の「川」ではなく、さんずい編の「河」を使っています。
通常の川と比較をして、大きい流れを表すときに使う「河」。
その河の描写から歌詞は始まります。
幅の広い水量の多い河だけれどそこに流れる水は澄んだ青なのでしょう。
眺めていると清々しさを感じさせてくれます。
河から吹く風も爽やかで青く広がる空も、見えるような歌詞です。
河の大きさを表す言葉が歌詞にはもう1つありますね。
「とうとう」と運ばれていく水。「さらさら」や「ゆるゆる」では表現できない「河」です。
大地を流れる様は、何もかもを受け止める広さも表しているのでしょうか。
変わらない流れ
向こう側に広がる光景
水鳥自由に むらがり飛びかうよ
我が祖国 南の地
おもいははるか
出典: イムジン河/作詞:朴世永 訳詞:松山猛 作曲:高宗漢,加藤和彦
河にいる鳥たちの姿。
歌の主人公は、水の中で集まる様子に目を引かれました。
仲間同士楽し気に群れています。
鳥と鳥の間にはいさかいも、隔たりも無いのでしょう。
何も考えず気にすることなく、河で遊ぶ鳥たち。
その鳥にはもちろん翼があります。
河も空も自由に移動することができるのです。
鳥たちのいる河の向こうに広がる大地、それは主人公の「祖国」。
気が付けば見渡すだけの地になっていました。
そこには沢山の思い出があるのでしょう。
思い出の中に出てくる人たちの顔を、思い浮かべているのでしょうか。
「水鳥」たちのように、仲間としていつも楽しい時間を過ごした人たちです。