1stアルバム『the monochrome disc』に収録
【裏表ラバーズ】って?
ラバーズは「lovers」、つまり恋人同士の2人を指す言葉です。
互いを好きで一緒にいるはずの恋人たちですが、それが「裏表」とは一体どういうことでしょうか。
まるで背を向け合っているような雰囲気が感じられます。
今回は歌詞を通して、この恋人たちが抱えている本当の想いを読み解いていきましょう。
主人公は誰?
【裏表ラバーズ】を歌うのは初音ミク。つまり歌詞の語り手である「私」は女性であると判断できます。
この主人公、冒頭から早口でまくしたてるように歌うのが印象的。
まさに女性が自分の中から溢れる感情を全て吐き出しているような、そんなイメージでしょう。
これが、楽曲の主人公の混乱をわかりやすく伝えています。
愛ってなんだ?
混乱している主人公
良いこと尽くめ の夢から覚めた私の脳内環境は、
ラブという得体のしれないものに侵されてしまいまして、それからは。
どうしようもなく2つに裂けた心内環境を
制御するだけのキャパシティなどが存在しているはずもないので
出典: 裏表ラバーズ/作詞:wowaka 作曲:wowaka
ここからは主人公の女性が誰かに恋をしているということがわかります。
ただしそれが普通の恋と違うことは、この混乱具合を見れば明らか。
まず1行目で「夢から~」といっていますから、彼女はいま目覚めたところでしょう。
冒頭「良いこと」から想像するに、彼女は気になっていた人と一夜を共にしたのだと想像できます。
関係を持ったことが、彼女の中にあった愛情を増幅させたのでしょう。
ただし3-4行目を見ればわかる通り、簡単にはその愛に溺れることができません。
彼女の心の中でぶつかり合うのは理性と本能。
愛という本能的な感情に支配されている主人公は、何とかその気持ちを理性で整えようとしています。
しかしそれがうまくできないほどに、彼女は彼の虜になってしまっているのでしょう。
「好き」の気持ちを制御しなければならない関係性。彼らはまだ正式な恋人同士ではありません。
浮気?不倫?いずれにせよ危うい関係性であることは確かでしょう。
状況を俯瞰したい
曖昧な大概のイノセントな感情論をぶちまけた言の葉の中
どうにかこうにか現在地点を確認する目玉を欲しがっている、生。
出典: 裏表ラバーズ/作詞:wowaka 作曲:wowaka
1行目の片仮名は「無罪・潔白」を意味する英単語innocentのことでしょう。
これはきっと直前の歌詞であった「良いこと」の誘惑に負けてしまったことへの言い訳。
悪いことをしたという感覚があるからこそ必死になってしまう彼女は、とても真面目な性格のようです。
続く2行目の「~目玉」は、状況を客観的に見つめて整理できるようなスッキリした思考を指しているのでしょう。
相手に対して愛があると思っていた主人公ですが、その感情が本物なのか確かめたいのかもしれません。
一夜を共にした男性のことが気になりつつも、まだまだ理性的な主人公です。
2つの感情
この先の歌詞は理性と本能に振り回される主人公が順番に描かれています。
冷静に物事を捉える主人公と、狂ったように何かを求める主人公。
対照的な主人公の様子をお楽しみください。