安心できる場所に
「ただいま」の言葉が
助けてって聞こえた気がして
何も聞かないけど
そばにいようと思った
出典: family/作詞:Saori・Fukase 作曲:Saori・Nakajin・Fukase
声のトーンから“何かあった”ということが分かったのでしょう。
もう1人では抱えきれないほどいっぱいいっぱいになっているのかもしれません。
しかしそのまま部屋に籠られてしまったらやはり親からは何も聞くことが出来ません。
出来ることはただ子供が安心できる環境を整えるということのみです。
口にしなくても伝わる想いがあるということを信じてそばに寄り添うのでしょう。
行き場を失う想い
気になってしまう様子
君が家に帰ってこないと
言うはずだった「おかえり」と
「今夜はカレーだよ」って言葉が
居心地悪そうなんだよ
出典: family/作詞:Saori・Fukase 作曲:Saori・Nakajin・Fukase
子供が安心できるようにと、帰ってきた時にどう迎えようか考えるものなのです。
何てことない当たり前の「おかえり」と、特別な話題でもない今日の献立の話。
この2つは「今日もおうちは平和だよ」というメッセージのようにも読み取れます。
その言葉も、帰ってこないと長蛇の列の順番待ちの時のように待ち時間にそわそわしてしまうものです。
安心させるために考え抜いた他愛もない話題が行き場を失っている様子が窺えます。
解ってしまう辛さ
家族だから 解っちゃう事
家族だからこそ分からない事
知らない君の顔を見る度に
越えそうになる線
出典: family/作詞:Saori・Fukase 作曲:Saori・Nakajin・Fukase
親にとって子供は、生まれた時からずっと一緒に居てずっと気にかけていた存在。
子供が生まれると親の頭の中は子供でいっぱいになり、自分の悩みなんて持たなくなります。
いくつになってもその時その時の子供の悩みで頭が埋め尽くされるものなのです。
そうやってずっと近くで見てきた存在なので、ちょっとした変化にはすぐに気付くものでしょう。
しかし子供は子供で“親にだけは言えない事”が増えていきます。
親には見せなかったような顔をふと見たときなどはどう感情を整理していいか分からないものです。
親が首を突っ込んではいけないという自制心=越えそうになる線ということでしょう。
言いたくない事もあるだろうと頭で分かっていても、子供の事は何でも知っておきたいという気持ち。
揺れ動く心に重しを付けて堪える辛さが読み取れるでしょう。
“家族”の特権
だんだん大人になっていく
「おかえり」って言う事
当たり前すぎて分からなかった
いつまでも 当たり前には言えないんだとか
出典: family/作詞:Saori・Fukase 作曲:Saori・Nakajin・Fukase
家族の中では当たり前で特別何も考えてはいなかった「おかえり」という言葉。
3行目から読み取れるのは、いつか子供は巣立つという事です。
いつまでも親の手のひらの中で守られているだけではありません。
いつか殻を破り外の世界へ飛び出していきます。
そこにはたくさんの出会いが待っていて、親とは別の安心できる場所を見つけていくのでしょう。
当たり前に帰ってくる場所がここでは無くなってしまう。
そんな日がいつか来るという事に改めて気付く様子が読み取れるでしょう。
変わらない特別を
「ただいま」って言うのが
少しだけわざとらしくなっても
きっと「帰るね」って言うから
「気を付けてね」って言って
出典: family/作詞:Saori・Fukase 作曲:Saori・Nakajin・Fukase
子供が巣立って1人暮らしを始めると、親と暮らしていた家は“実家”という存在になります。
すると昔のまま「ただいま」でいいのか、「おじゃまします」なのか正解が分からなくなるでしょう。
しかし親に実家に行くことを伝える際はきっと「帰る」という言葉を使います。
子供の時のようにはいかないかもしれないというのは子供自身も気付いているのでしょう。
それでも実家は変わらず自分がほっと出来る場所であってほしいという願いが読み取れます。