「サーチライト」はドラマの主題歌として作られた
「サーチライト」はテレビ朝日系土曜ナイトドラマ『先生を消す方程式。』の主題歌として作られました。
ドラマとのタイアップが決まり、そこから一気に曲が完成したと秋山黄色は語っています。
「サーチライト」は外からの刺激があってこそ完成した曲だということが分かるでしょう。
そのような経緯を辿ったことで、秋山黄色がまた1つステップアップした曲といえるのではないでしょうか。
あまりに強烈な物語
『先生を消す方程式。』は名門私立高校が舞台になっているドラマです。
3年D組で半年の間に3人もの先生が辞任に追い込まれました。
そこに志願して新たに義澤経男(通称・義経)が担任になる所からドラマが始まります。
このクラスにはハイステータスな保護者を持つ4人の生徒の「4C」というグループがありました。
その生徒たちが自分の手を汚さずに先生を次々に辞任に追い込んでいたのです。
4Cの生徒たちは義経先生にも意地悪な質問や精神攻撃を仕掛けます。
ところが義経先生はへこたれることなく、いとも簡単にその攻撃をかわしていくのです。
そのため生徒たちの攻撃は次々にエスカレートしていきました。
そしてついには副担任の先生のけしかけもあり義経先生を抹殺しようと完全犯罪を企てます。
そんな強烈な学園サスペンスの主題歌として作られたのが「サーチライト」です。
MVの監督は水溜りボンドのカンタこと佐藤寛太
『サーチライト」MVの監督は水溜りボンドのカンタこと佐藤寛太です。
このMVの制作にあたり、佐藤寛太はある企業に自らアタックするほど力を入れています。
その企業とは、以前から佐藤寛太が憧れていたクリエイターズカンパニー「株式会社エコ」です。
「株式会社エコ」の全面協力のもとでMVが完成しました。
MVの視聴者は作中で秋山黄色の動作と影の動きが食い違っていることに気付くでしょう。
それはサーチライトで照らされる光と影を表しています。
両者の動きが一致しないのは自分の思いと違う行動をとってしまう心の葛藤を描いているのではないでしょうか。
がんじがらめで身動きが取れない中でも前に進もうとしているのです。
佐藤寛太が秋山黄色のMVに力を入れたのは秋山黄色の思いに共鳴する何かを感じたからなのでしょう。
サーチライトという作品の世界観を見事に表現しています。
激しさと静けさの表現<
サーチライトの作中では、激しさと静けさを表現している部分が見受けられます。
動と静を対比することで心の葛藤を効果的に表現しています。
10秒間のイントロ
この曲は静かなイントロで始まります。その時間はおよそ10秒です。
その後、激しいリズムへと変わります。
イントロがなかったとしてもこの曲は成り立つはずです。
しかしこの10秒間があることで表現されていることがあります。
それは表に出る激しさだけでなく心の中にある寂しさや孤独への恐れなのです。
歌い出しでの対比
なにかを振り払いたくて駆け抜けた
目に見えない物は全部優しさだと思いこんでさ
出典: サーチライト/作詞:秋山黄色 作曲:秋山黄色
最初の8小節と次の8小節が1オクターブ違いのほぼ同じメロディーで歌われています。
「振り払いたいなにか」は友達の言葉や態度かもしれません。
浮かぶのは「自分が思い込んでいたものが違っていたのかもしれない」という思いなのでしょう。
それを抱きながら駆けていく姿を思い描くことができます。
弱さを受け入れる強さ
正しさを求める苦しみ
なにが正しいのかが分からないままでも
時計の針は心を容赦なく刻むから
出典: サーチライト/作詞:秋山黄色 作曲:秋山黄色