心ひとつ
持ったら 飛び越えていきたいよ
どんなに 傷ついてもいいから
泣かないで 今愛を止めないで

出典: 心ひとつ/作詞:MISIA 作曲:鷺巣詩郎

恋人を想う心だけ持って、もう一度やり直したい。

自分と恋人を隔てる障害があったとしても、すべて飛び越えてみせる。

それだけの覚悟も度胸もあるのに、もう何もかも手遅れです。

主人公もそれは痛いほどに理解しているでしょう。

分かっていて尚、諦められない。

主人公は本当に恋人のことを愛していたんですね。

自分が傷つくのは構わない。

だからどうか、隣で泣いている愛しい人を抱きしめさせてほしい。

「愛を止めないで」という歌詞には、きっと「どこへも行かないで」という意味が込められているのでしょう。

このまま離れていってしまうくらいなら、いっそずっとこうしていたい。

車内は耐えられないほど重苦しい空気のはずなのに、主人公は恋人と別れることの方がよほど辛いようです。

失って気づく価値

失ったものの価値というのは、大抵の場合失った後に気づくものです。

それはこの曲の主人公も同じだったようで、1人後悔に沈んでいます。

1人取り残された

じゃあねと別れて 車をおりた君が
少し強く見えた夏の午後
知らず知らずに過ごした時の中で
忘れてた幸せ

大人になれば怖いものは無いと思ってた痛みも知らずに

出典: 心ひとつ/作詞:MISIA 作曲:鷺巣詩郎

とうとう恋人が車を降りてしまいます。

主人公はきっと恋人に何の言葉もかけることができなかったのでしょう。

だからこそ余計に、1人で歩いていく恋人の背中が強く見えたのかもしれません。

置いていかれた自分と、歩き出した君。

遠くなっていく恋人の後ろ姿を見送りながら、主人公は1人思い出に浸っています。

今になって思えば、君と過ごした何気ない日常が一番幸せな時間だった。

いくら恋人のことを愛していたとしても、主人公は大切なことに気づくのが遅すぎました。

取り残された主人公の胸に、じわじわと喪失感が広がっていきます。

まさか、大人になってからこんなにも痛い思いをするなんて...。

無知だった頃の自分を思い出し、主人公はさらに惨めな気持ちになっているのでしょうね。

辛くてもずっと覚えていたい

最後まで主人公の胸には後悔と未練が残り続けました。

そしてそれはこの先もずっと主人公の胸に居座るでしょう。

別れた恋人への切ない想いを抱いて、主人公はこれからの未来を生きていきます。

苦しくても、辛くても、主人公が恋人のことを忘れる日は来ないでしょう。

主人公はどんなに辛くても、恋人のことをずっと覚えていたいと願うはずです。

君の心を守りたかった

心ひとつ 守れる 強さを持てたのなら
悲しみ 寄せつけやしないのに
泣かないで 今愛を止めないで

出典: 心ひとつ/作詞:MISIA 作曲:鷺巣詩郎

主人公が守りたかったのは恋人の心。

それさえ守れていたら、今でも自分の隣には君がいたんじゃないか?

そんな考えもあるのでしょう。

しかしそれ以上に、恋人を悲しませたくなかったという後悔の方が強いのだと、ここの歌詞から想像できます。

もしもう一度やり直せるなら、今度こそ君を泣かせたりはしない。

そんな主人公の声を聞いてくれる人は、もうどこにもいません。

強くなりたかった。

主人公が一番後悔していることは、恋人を失ったことよりも、恋人を傷つけてしまったことです。

その後悔だけは、きっとこの先も一生消えることがないでしょう。

恋人と別れた後も、主人公は「泣かないで」と願い続けています。

君を忘れない

いつかは 悲しみさえ 飛び越えていきたいよ
どんなに 傷ついてもいいから
泣かないで 今愛を止めないで

出典: 心ひとつ/作詞:MISIA 作曲:鷺巣詩郎

主人公の胸の中で渦を巻いている元恋人への未練。

それもいつかは乗り越えて、前を向いて生きていきたいと主人公は歌っています。

最愛の人を失った悲しみは、きっといつまでも残り続けるでしょう。

しかしその悲しみを受け入れなければ、主人公はいつまでも1人取り残されたままです。

君のことを忘れない。

別れを受け止めた上でそう言える日が、主人公の未来にも訪れるはずです。

その時は恋人と過ごした日々のことも笑って思い出すことができるかもしれません。

どんなに時間がかかってもいい。

今以上に傷つくことになったとしても構わない。

君への想いを抱いたまま、この先の道を歩いていく。

最後の「愛を止めないで」は、そんな主人公の覚悟を歌っているのかもしれません。

最後に

MISIA【心ひとつ】歌詞の意味を徹底解説!主人公が守れなかったものは?切ない別れの曲に号泣必至…の画像