愛が持つ憂いを帯びた美しさ
ポルノグラフィティが歌う『ROLL』の歌詞は涙が出るほど美しく繊細です。
水彩画のような瑞々しい鮮やかさと、大地を震わせるような強い情動。
綴られていく言葉の1つ1つに心が震えます。
人を想う気持ちというのは、こんなにも綺麗で同時に危ういものだったのか。
愛が持つ憂いを帯びた美しさを目の当たりにし、体の内側が大きな感動で満たされていくはずです。
大切にしたい人を傷付け、悩み、離れ、そうしてまた愛せるように答えを探す。
人は誰もそんな風に遠回りをしながら、愛の行きつく先に想いを馳せているのでしょう。
間違えたとしても、最後は大切にしたい人の心に自分の言葉が届きますように。
そして、大切な人のすべてを愛せる日が訪れますように。
この世界はそんな小さな願いで溢れているのかもしれません。
ありふれた景色が尊く見える
こちらは『ROLL』のショートバージョンのMVです。
優しい雰囲気のアニメーションが、曲の世界観とよく合っています。
描かれているのはありふれた街の景色。
鳥が空を羽ばたき、猫が気持ちよさそうに伸びをし、それらと関わりあうように人々の暮らしがある。
この曲を聴いていると、そんな当たり前のことがとても尊いものに思えてきます。
美しさというものは普段の何気ない日常の中に存在しているものなのかもしれません。
花を愛でるように日々の生活を大切にしていきたいものですね。
生き方を考える
この曲の主人公はこれまでの人生や自分らしさについて悩むあまり、出口のない迷路に迷い込んでしまいます。
主人公が自分なりの答えを見つけ、人生の迷路から脱出することはできるのか。
思わず自分も生き方について考え込んでしまう歌詞について、徹底解説していきます。
人生に対する虚無感
大きな時の流れの中で
僕は何を手にしたんだろう
芽を摘み集め咲かせたものを
すぐに枯らせてしまう
出典: ROLL/作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁
ずっと世の中を動かす歯車の1つとして生きてきて、主人公はふと自分という人間について振り返ってみた様子です。
時代に流されるような生き方をしてきた自分に、何か誇れるものがこれまでに1つでもあっただろうか。
自分がどんな目的で生きているのか、何を喜びとして生活を送っているのか、主人公は急に分からなくなったのでしょう。
1つでも確かな価値のあるものが欲しくて、美しい花を摘んでみた。
けれど摘んだ花はすぐに枯れ、本来あったはずの価値が失われてしまいます。
何度花を摘んでも、何度花を咲かせても、最後には必ず枯れていく。
人の命も同じで、花のように儚いものなのでしょう。
ここの歌詞からは主人公の人生に対する虚無感が伝わってきます。
自分らしく生きるためには?
雲は風に流され何処かで消える
あるがままで生きようとするあまりそれさえも見えない
出典: ROLL/作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁
自分らしく生きるとは、どういうことなのでしょうか。
その答えも分からないまま、主人公は「あるがまま」の自分を求めて必死になっています。
自分探しをしていく中で、余計に自分というものを見失ってしまう。
それは主人公が命の儚さを受け入れられずにいるからかもしれません。
形あるものはいつか壊れていくのと同じように、すべての命は還るべき場所へと還っていきます。
この世に変わらないものなど1つもない。
いつかは消えてなくなるという事実をしっかりと受け止める。
そうすることで、人は自分らしく今を大切に生きられるようになるのではないでしょうか。
人生の価値とは何か。
主人公とともに、思わず考え込んでしまいますね。
出会いが人を成長させる
ありのままの自分でいるために必要なのは、きっと大切と思える人の存在です。
人は人との関わり合いの中で成長し、様々な感情を覚えていくもの。
出会いがなければ、本当の自分を見つけることもできないでしょう。