今の状況に本当に満足している?
自分に足りないものは一体何か
Spin the world
I wanna feel blessed
足りないものはなんだろうな?って
ちょっとした時考えるけど思いつかない
スマホに閉じ込めた
終わりの見えないゲームに
汗水垂らしてニヤつくぐらい
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
「feel blessed」、つまり彼はいつでも日常に満足していたいという願望を抱いています。
それは自分にとっての満足なのはもちろん、他者から見て成功した人生を歩みたいという意味にもなります。
しかし、思い描く「満足」には何かが足りない……。
ふと意識の隅で考えてみても、その答えは見つかりません。
思い返せば、生きる上で最低限必要なものは全て揃っているようにも感じられます。
周りから見れば、「もう十分だろう」と言われてしまうような状況。
しかし主人公にしてみれば、これといった楽しみもなく、休日はスマホゲームに没頭するだけ……。
もっと熱中できる何かがあればと願っても、なかなか足が前に進みません。
かつて抱いていた欲望を飲み込んで
仕事も生活もなんとなく揃ったよ
あとはもう一生それ続けるだけ?
“喉から手が出るほど“って
表現も現在(いま)じゃリアルじゃなくなって
黙って飲み込んだ
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
若い頃に目指していた夢の数々は、既に彼の手中に収まっていました。
あの日夢見た立派な仕事に就きたい……。
憧れのあの土地に住み、誰もが羨むような生活がしたい……。
夢の大小はあれど、大人になって無事その夢を叶えたという人も少なくないでしょう。
しかし夢が叶った瞬間、喜びと共に感じた「虚しさ」。
もう次に何を追い求めればいいのかわからず、前向きになることが出来なくなってしまうのです。
この生活を手に入れる前は、「喉から手が出るほど」渇望していたものがたくさんありました。
しかし成長し大人になった今、それほどまでに情熱を注いで追い求めたい何かは存在しません。
そんな風に夢を追っていた自分は、まるで遠い日の空想のようで……。
昔のこと、そして夢のことを考えるのを止め、またありきたりな毎日へと戻っていくしかありません。
在りし日の心
いつしかの 景色が
色帯び 光ったら
在りし日の 心が
踊りだして
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
そんな毎日を送っていた主人公ですが、ある日ぼんやりと思い出していた過去が急に光るのを感じます。
まるでモノクロのように色あせていた世界が、昨日のことのように色づき、思い出されます。
懐かしさを感じるとともに、彼の心に浮かび上がってきたのは「あの頃の気持ち」。
明日が来るのが楽しみで仕方なかったあの頃に、心は舞い戻っていきます。
心が躍り出した時、浮かんできたのは希望や夢たち。
何もかも手に入れたように見えるこの世界で、新たな喜びを見つけた瞬間でもありました。
今この瞬間、「自分」に戻っていく
何を風に任せる?
風になって
風になって
風まかせになっていく
あと少しで自分に戻れそうなんだ
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
歌声が伸びやかに響き、風のようにどこまでも流れていきそうな1番のサビ。
若い頃とは違い、がむしゃらに何かを頑張ることも出来なくなってしまった自分へのエールを感じさせます。
炎のように燃え上がるわけではなく、流れる風のように駆け抜けていけたら……。
あの頃のように、到底叶いそうにない壮大な夢がいくつも浮かんできます。
そう、これこそが元々の「自分」。
生き生きとした日々を送っていたはずの自分の姿なのです。