あてもなくて
あてもなくて
畦道乗り出していく
現在(いま)会ったら何を思うかな
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
すぐに手が届きそうな目標や夢ではなく、はるか先に達成できそうな未来を描くのが元々の彼の生き方でした。
現にあの頃追い求めた「はるか先の未来」は、今の自分が叶えています。
ならば今の自分は、未来を生きる自分へはるかな夢を託していく……。
そうすることで、まっすぐ先を見据え、生きる希望に満ちた人生を歩むことができるのです。
達成には程遠い現在、歩く道はデコボコで歩きにくく、足をくじきそうになる日もあるでしょう。
先はもやがかかったように白く、ゴールは遠すぎて確認できないほど。
そんな中、かつての仲間たちに今会うことができたなら……。
「おかえり」、そんな言葉と共に笑って迎えてくれることでしょう。
なかなかさらけ出せない心
Spend the words
To spit it out
云いたい事はなんだろうな?
わかってるはずだけどおぼつかない
好かれたいと思わない
けど嫌われたくもない
結果なんとも思われなくなって
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
言葉というのは、想いを外に出すためにあるツールです。
何かを伝えたくて言葉にしてみても、今の主人公にとってはどれもしっくりくるものではありません。
前までは躊躇もせず口に出せていた言葉たちも、大人になった今は口をつぐむことに……。
「分別」「遠慮」「礼儀」、そんな言葉の数々が、大人たちに未来を見せることをためらわせているのです。
本当にやりたいことがどんなことなのか、薄々わかっているはずの主人公。
しかしそれをなかったことにするかのように、心の奥にしまい込んでしまいます。
特別人気者になりたいわけでもないけれど、決して1人ぼっちになりたくもない……。
そんな「どっちつかず」の状態が続き、遂には心許せる人が近くにいない状態になってしまいました。
周りの人たちも、彼を何とも思っていないように通り過ぎていきます。
それを望んでいたように見えて、やはりどこか寂しくなってしまうのが人の心ともいえます。
負け犬のレッテルを脱ぎ捨てて
負け犬は 遠くで
吠えるから 負け犬で
近くでさ 歌うように
吐き出せば
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
主人公に「負け犬」というレッテルを貼ったのは、他でもない自分自身です。
人の輪から外れ、遠くの方で小さく文句を言うだけの存在だった自分。
その姿はまさに「負け犬」というのにふさわしいくらい、悲しくしょぼくれていました。
しかし、せっかく声を上げるのならば、近くで聞こえるように話さなければ意味がありません。
せっかくならばその声を歌に乗せて、多くの人に届けてあげましょう。
次第にその声が負け犬の遠吠えではなく、誰もが聴き入るメロディーへと変わっていくはずです。
あの日目標としていた君
風はどんなメロディーを鳴らすのか
風が鳴って
風が鳴って
風任せに鳴っていく
あと少しで君に届きそうなんだ
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
彼が発した歌声は、まるで風のように爽やかで透き通ったものでした。
[Alexandros]の楽曲も、会場の向こうにいるファンにも届きそうな歌声が魅力的ですよね。
声が遠くへいけばいくほど、多くのファンが[Alexandros]の楽曲に聴き入ります。
そんな風のような歌声に乗せて、夢や希望を紡ぐことができたなら……。
遠く未来を生きる自分にも、きっと届いてくれるはずです。
あの頃夢を語っていた自分、そして周りにいた仲間たち。
明るい未来を描くことを止めた今、仲間たちの顔を思い浮かべることも少なくなってしまっていました。
大切だったはずの仲間たちに、今改めて手を伸ばしたい……。
心は宙を舞い、風に乗ってあの頃へと戻っていきます。
がむしゃらに紡いだ言葉でも
荒れ果てた
言葉だって
痛みを知ったぶんだけ
優しく強い歌になれるよ
出典: 風になって/作詞:川上洋平 作曲:川上洋平
ささくれて棘だらけになった心を、一生懸命何でもないように取り繕う大人たち。
喜びも悲しみも一定に保つように生きていく中、自分の心が出したSOSにも気が付けないままです。
しかし、自分の中からあふれ出す声に気がつけるのは自分しかいません。
マイナスな言葉は決して隠すべきものではなく、自分の悲鳴を受け入れることが大切なのです。
そうして傷つき、涙を流した日々は、決して無駄になることはありません。
順風満帆に生きてきた人ほど、他人の痛みに気がつきにくくなるといえます。
これまでたくさんの傷を負ってきたあなたなら、誰よりも優しい歌を歌えるはず……。
音楽を紡ぐ時が今、満を持してやってきました。