はしゃぎすぎた季節から黄昏に変わってゆく
僕は上手に乗れてはいないけれど
出典: 黄昏ロマンス/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
はしゃぐ季節といえば夏が思い浮かびます。
そして黄昏が例えているのは切なさを感じる秋、ではないでしょうか。
黄昏は一般的に夕焼けや陽が沈む時間のことを指します。オレンジや夕日のあの色、あの切なさ。
この景色を四季に当てはめると間違いなく秋を想像できます。
夏が終わり秋がやってくる、そんな季節の移り変わり、つまり時間の経過を表現しているのです。
2行目でうまく乗れていないと表現しているのは、きっとこの時間の経過のこと。
時が経って癒されることや受け入れられることがありますが、主人公はまだそこまで行けていないのです。
と、考えると、おのずと離婚によって負った傷のことと捉えることができそうです。
また、もう1つの考察として考えられるのは新しい環境に気持ちが全てなじめていないということ。
こう考えると、再婚をして新し土地に引っ越してきた現妻との生活のこととも捉えられます。
この場合、残してきた娘の存在が気になるということもあるのではないでしょうか。
いずれにしても、主人公の中で吹っ切れない何かが存在しているようです。
前に進まなければ
何一つ終わってやしないのに まだ生きるとして
僕らには始まりや始まってないものばかりさ ねぇ気づいてる?
出典: 黄昏ロマンス/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
ここでいう何も終わっていないとはどういうことでしょうか。
主人公のいままでの人生を振り返ったとき、ひとつもやりきったことがないという意味でしょうか。
これから先の人生を考えると、今までの人生はほんの序章にすぎなかったのかもしれません。
それほどドラマチックな運命だと実感しているようです。
まさにドラマの中で複雑に絡み合う関係を示唆しているようです。
複数に絡み合った糸を1本ずつほどいていき、はじめてそこからスタートができる。
そんな気持ちなのかもしれません。
いよいよ人生の終わりを迎える時には
いつの日か年老いて終わりを感じながら
公園のベンチで思い返してみる
君にとっての幸せがいったいどこにあったのか
ひとつくらいは増やせてあげられたかな
出典: 黄昏ロマンス/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
自分にとってとても複雑で、それでも全力ですべての人を守ろうと決めた主人公。
ドラマの中にもリンクするシーンがあります。
それは前の妻が事件に巻き込まれたとき、「守る」と言った場面です。
複雑な想いの中、彼に関わるすべての人への愛情を感じられるシーンでもありました。
自分自身のためだけでなく、誰かのために全力で生きたら、きっと満足する人生だったと思えるのではないでしょうか。
主人公にとって、かつて愛した前妻も今の愛する妻も大切な存在だったのです。
そして歌詞の意味としては、そんな人生を振り返った時に“君”が幸せだと思ってくれていたらいいなぁ。
そんな気持ちではないでしょうか。
君に寄り添っていくよ
君のすべてわかってあげたい ひとつも残さず
いつの日か君が話す全部に頷けるようにね そっと Close to your life
出典: 黄昏ロマンス/作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一
この歌詞では注目すべきは最後の英文です。
この場合の「Close」は閉じるという意味ではありません。
「寄り添う」や「近くに」「そばに」という意味として捉えることができます。
1行目のように、主人公は“君”のことを理解したいと思っています。
今は理解できないことも、時間がたっていつかは「そうだね」と言えるように。
そんな風になるために、これからは“君”の人生に寄り添っていきたい。
口には出せないけれど、見守っていきたいというメッセージが込められているのではないでしょうか。
ドラマでは、最終的に主人公と前妻はお互いの人生を歩むため決別します。
しかしそれは悲しい別れではなく、新しい未来へ進むための新たな出発なのです。
涙ながらに別れる2人には、誰にも理解できない絆のようなものを感じます。
決して堂々と口にすることはできないし、伝えられない想いを抱えている人もいるでしょう。
主人公は、秘めたる想いを抱え大切な人の幸せを願っているのです。