湧き上がる愛情が苦痛を生む
愛してるって言わないで またつらくなってしまうから
今はただ 何も言わずに 夕陽が姿消すまで そばにいて
出典: Distance/作詞:高木洋一郎 作曲:高木洋一郎
MVでも男性のアプローチに女性は戸惑っている光景がありました。
惹かれている相手に愛情表現してもらうのはとても嬉しいことですね。
でも、今回の場合は素直に喜ぶことができません。
なぜなら、将来を約束できない間柄と認識しているからです。
愛し合うほど苦痛は深みを増し、まるで蜘蛛の巣に絡まったような状態に。
だから、今はこうやってそばに居られるだけで幸せなのです。
湧き上がる感情を否定する訳でもなく、隣にいられることが主人公にとっての精一杯なのでしょう。
近づくほどに辛くなる
会えばまた笑顔になる 離れれば涙になる
近づくほどに求めて あなたを困らせていた
出典: Distance/作詞:高木洋一郎 作曲:高木洋一郎
一緒にいる時は好きな人と過ごせる時間は嬉しく感じる。
でも、いざ一人になると二人の関係性を客観的に見て落ち込んでしまう。
とても不安定な心の状態なのがうかがえますね。
最初に予期していた苦痛が現実となっているのでしょう。
それに対して「あなた」はまっすぐに愛情を表現してくれる人柄でしたね。
「嬉しい」と「辛い」が共存した複雑な心情。
これを彼に見せることすら、ためらいを感じているようです。
でも、我慢すれば自分の中で溜め込み、もっと辛くなりそうですね。
だって既婚者の恋愛であれば他人に相談することなんてできません。
全てを自分で背負い込むほかないでしょう。
もう限界
叶わなくたっていいって 覚悟はしてたけど
もう自分に嘘つけなくて 伝わるぬくもりに
今よりもっと何かを 期待してる
出典: Distance/作詞:高木洋一郎 作曲:高木洋一郎
頭の中では状況を理解しているのに、愛情がとめどなく溢れているのがうかがえます。
主人公が抱え込んだ苦痛は、もはや限界を迎えているようです。
「ぬくもり」について歌っているということは、抱きしめ合っているのが想像できますね。
そこまで愛情を確かめ合ってしまったら、離れることなんてできるはずがありません。
心が張り裂けそうになっているのが伝わります。
別れが怖い
ありがとうって言わないで 会えなくなってしまう気がして
今はまだ微笑んでいて 消えない悲しみをそっと 隠していて
出典: Distance/作詞:高木洋一郎 作曲:高木洋一郎
先ほどは愛情表現を拒んでいましたが、今度は逆です。
愛の深みにはまった今、終わりを迎えることが何よりも怖いのだと思います。
一時の幸せがしばらく続くことを望んでいますね。
いつか主人公が別れを受け入れられる時は来るのでしょうか…？
割り切れない感情がグルグルと巡っているような感覚がしますね。
叶うことなく続く愛情
2人の「距離」
愛してるって言わないで 心揺さぶられてしまうから
何もかも 許しあえたら あなたに甘えられたら
出典: Distance/作詞:高木洋一郎 作曲:高木洋一郎
ここまで心を開いて愛情をさらけ出してしまった今、与えられる愛情はさらに依存を深めるだけ。
さらなる苦痛が生まれることに、単純に「嬉しい」と言い切れないですね。
どんなに惹かれ合っても2人の間には「Distance」…つまり「距離」があるのです。
2人を縛り付ける様々な状況を全て取り払うことができたなら。
何も気にすることなく、心から愛し合うことができたなら。
それが主人公の一番の望み。
本当は甘えたい気持ちを、頑張って自制して持ちこたえているのです。
なんて切ないのでしょう…。
