映画『さくら』の主題歌
この楽曲は配信限定のデジタルシングルとして2020年11月にリリースされました。
映画『さくら』の主題歌でもあり、この映画のために書き下ろされた楽曲です。
ジャズテイストな曲調に椎名林檎さんの独特な歌声がのる印象的な楽曲に仕上がっています。
ジャズの自由さには歌詞に込められたメッセージにも通じるものがあるようにも感じられるでしょう。
自然と体がリズムに乗るような奔放さのあるメロディと東京事変の世界観に浸れる一曲です。
自由の中でもがくじれったさ
自由の中で抱く緊張
果てしのない自由その中で張り詰める人は誰
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
歌い出しの歌詞です。
自由であることは誰もが望むものですが、その自由が果てしない自由だと人は困惑してしまいます。
何をしても良い、という状況では何をしたら良いか分からなくなってしまうからです。
その自由の中にあってまさにどうすれば良いのかと張り詰めてしまっている人がいるようです。
なぜその人がそのようになってしまっているのかを次から読み解いていきましょう。
明日の自分を作るのは今日の自分
今日の自分をそう明日の自分が睨んでいるぞ
ついさっき芽生えた恋こそお前の主だった要素
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
自由を前に張り詰めてしまっている人は誰かに恋心を抱いていたようです。
おそらく果てしない自由とはその恋心を叶えるためのアプローチ方法や気持ちの捉え方なのでしょう。
その人とっては突然抱いた思いがけない感情だったのかもしれません。
しかし抱いてしまった以上は叶えたいと思うものです。
そのためには日々行動を起こさなければなりません。
今日の自分の行動次第で、明日の自分の行動も変化します。
明日の自分がより前進するためには今日の自分が行動しなければならないのです。
もし今日の自分が尻込みして行動できなければそのツケは明日の自分に返ってきます。
だからこそ明日の自分が今日の自分を監視するように睨んでいるのでしょう。
直感のままに行動
考えるよりも行動を
考え込む前に大いに受け入れるのが正解早う早う
だっていつどんな展開に出会うかわからない
ギリギリまで行こう
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
恋をしている時、考え込みすぎて行動できないのでは何も進展しません。
考え込むのではなく、気持ちを受けいれて思うままに行動するのが正解だと歌われています。
慎重に進めたいと思う人にとっては大胆すぎるように感じるかもしれません。
しかし自分が行動しない間に思いがけない展開が起こってしまう可能性は十分にあります。
もしかしたら恋敵が現れてしまうかもしれません。
その時に後悔しないよう、気持ちに素直になって正直に行動しようと背中を押しているのです。
溢れ出す衝動
なんか満ち満ちて溢しそうだ焦ったくてこまる
一層突き破りたい壊し足りない思い知りたい
生きている負い目
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
自分の中に本能的な感情が溢れているように感じられる歌詞になっています。
気持ちに素直になって行動すれば「自分」を抑圧するものがないために解放的にも感じられるでしょう。
しかし人には理性もあり、その理性がストッパーの役割を担っています。
理性で考えると止めた方がいいと思うことでも、感情の赴くままならできるかもしれません。
しかし感情に素直になることがいつでも正しい訳ではなく、時には理性的に行動する必要があります。
どうしても理性を捨てきれず、そのために全てを思うままに行動できないことがじれったく感じているようです。
しかしその本能的な行動の理性による制御は人として生きている以上誰もが行っています。
そうした一種の人としてのガマンが人として生きるために必要なことです。
そのガマンから解放されたがっていることに申し訳なさを感じ、負い目となっているのでしょう。