埋められない溝
僕が昔思い描いた
理想との差はかなりのもので
あの頃の夢見る自分を思い出すと辛い
出典: 広がる世界/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
時間の有限性、命の有限性に気がついた主人公。
これまでの態度とはうって変わって、自分自身を振り返り始めたようです。
先ほどの部分で、何気なく生きてきた僕は何も成し遂げられていない事が明らかになりました。
ここではそんな自分に嫌気がさし、ちょっぴりネガティブな感情に支配されている様子が描かれています。
いまの自分には輝きなどありません。機械的に日々を過ごしているだけです。
そんな主人公にとって、かつて夢を追い求めていた輝かしい自分の姿は、ちょっと眩しすぎるのかもしれません。
あの頃の心を思い出して…
何故心の奥から笑えないんだ
何故こんなに無駄に考えんだ
素直な少年の心は
あの校庭に捨てたの?
周りの目が気になり過ぎてなんか
一歩も動けない僕がいるんだ
時間に限りがある事を
わざと忘れてて
出典: 広がる世界/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
年を重ねるごとに、人は夢を諦め、しまいには夢を見ること自体も諦め始めます。
それは現実がそんなに甘くないことを知り、そして大人からの「現実を見ろ」という圧に負けるからでしょう。
子どものように、純粋な気持ちで自分がやりたいことを追い求めたい。
そう願っているのに、現実の自分はうまくできていない。
いまやらなければ時間はどんどん過ぎていくのに、それに気がつかないフリをしているのです。
自分の夢はいつでも追い求められる。いつか取り組めばいい。いまやらなくたって…いつか…。
そうやって、先延ばしにし続けていたのかもしれません。
それではいけないと気がついた瞬間、何も行動できていなかった自分を振り返った主人公。
これまでの生き方を後悔している様子がにじみ出ています。
命の儚さを知った主人公
昔病気したとき
眺めた横断歩道
生きてるって気付かされた
この世界の持つ輝きにも
出典: 広がる世界/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
そんな主人公にとって、自分の命や時間の有限性を考えるきっかけを与えてくれたもの。
それが病気、そして入院という経験でした。
病気や怪我は、無条件で続くように見える自分の人生が、実は儚いということを教えてくれます。
主人公も病気を経験したことで、これまで考えていなかった命の大切さに気がつくことができたのでしょう。
どこまで続くのかとうんざりしていた日常が、急に輝いて見えるようになりました。
悔いのないように生きろ
やり残した事ばかりじゃないか?
明日があるからと諦めてないか?
息をしているこの時が
明日も続く保証は無い
好きなあいつには好きと言ったか?
友に感謝の気持ちは言ったか?
誰もが忘れ生きるけど
明日で最後だとしたら
家族にありがとうを言えたか?
生きたい場所へはもう行ったか?
広がる世界に溢れた
人生の1ページ
明日も生きようね
出典: 広がる世界/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
冒頭のフレーズから比べて、ずいぶんと前向きになった主人公の様子が描かれています。
最初は、この命がいま終わったって構わないと考えていた主人公。
それは決して「死にたい」という気持ちの表れではなく、ただただ「無関心」だったのです。
しかし自分がやりたいと思っていた事を再確認したり、自分の命の儚さを知ったり。
そのような経験によって、気持ちが大きく変わりました。
自分は明日も明後日も、何年後も何十年後も生き続けていると思っていたけれど、それは100%じゃない。
だから、いまできる事、いまやるべき事は、日々積み重ねて生きていかなくちゃいけないんだ。
こんな風に、自分自身の命に対して、そして自分自身の人生に対して、非常に積極的になっています。
今日という日は、自分の人生の中のたった一瞬かもしれない。
でもその一瞬を輝かせることが、自分の人生全てを輝かせるんだ。
そう考えているようです。
日々を大切に
長生きできる時代だからこそ。身近な死が隠されがちな時代だからこそ。
人は時に自分の命、周りの人の命の儚さや大切さ、重みを忘れてしまうのかもしれません。
この楽曲の主人公は、そんな風に現代で生きているわたしたちの象徴でした。
多くの人が健康に生きられる現代で、命の儚さ・大切さ・重みに気がつくことは容易ではありません。
そう感じているならぜひ、この楽曲を聴いて、そして自分自身に問いかけてみてほしいのです。
自分がやりたいことを先延ばしにしていませんか?
夢を諦めて、日々何気なく過ごしていませんか?
あなたが自分の生き方を見直し、忘れかけていた希望を取り戻せますように。
この楽曲に出会ったことが、そのきっかけになったら幸いです。