羊文学のポップなナンバー「ロマンス」
「ロマンス」は2019年7月3日にリリースされた、羊文学の3rd EP「きらめき」に収録されています。
このEPリリース後には、東名阪でワンマンツアー「まばたき」が開催されました。
そのライブでも前半で披露されたポップな人気ナンバーのひとつ。
ただ、塩塚モエカさんが作詞した歌詞には「悪魔のタネ」という不穏な言葉も出てきます。
この歌物語の主人公はどうして「君」を探しているのかも気になるところ。
「無敵!」と強がっていますが、そう言い切れるのはなぜなのでしょうか。
この辺りに着目しつつ、歌詞を解説していきます。
1番の歌詞をチェック
ネット社会で自己発信!
この街の真ん中で
叫んだら誰か見つけて
くれるんじゃないかって思う
出典: ロマンス/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
いや、そんなことをしたら見つかるどころの騒ぎではないでしょう。
そう突っ込みたくなる出だしです。
2000年代に社会現象となった「セカチュー」こと「世界の中心で、愛をさけぶ」的な話でしょうか。
確かに曲名の意味は恋愛小説です。
そして羊文学の歌詞には「大丈夫?」と心配になる主人公が出てきがち。
ところがこの歌詞冒頭の行為は、さすがにぎりぎりアウトになりそうです。
ただ、これがリアルな現実の話ではないとしたら、どうなるでしょうか。
世界中につながるインターネット社会で自己発信するということ。
そうすれば気づいてくれる人もいるのではないかと期待しているわけです。
これならひとまず問題なく、歌物語が紡がれていくのではないでしょうか。
君を探す理由
いやほんとは誰かじゃなくて
きみのこと探している、
でもそれは秘密のことよ!
出典: ロマンス/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
塩塚さんご本人によると、この曲の主人公はネットストーカーだそうです。
例えば羊文学が大好きで、関連する音楽をディグりまくる(深掘りする)。
その際にネットも活用する。そんなファンは実際にたくさんいるでしょう。
ただこれはサイバーストーキング、ネットストーキングには相当しません。
熱心なファンでいる限り、誰も不快な思いをする人がいないからです。
ところが有名、無名を問わず、ネットでつきまとわれた人が、不快と感じる行為にまで及んだら大変!
この曲の主人公は、ギリギリ大丈夫かどうかの瀬戸際にいるのでしょう。
恋しい「君」のことを知りたくて、ネットで追いかけ続けているようです。
しかも、相手にもまわりの人にも知られないように気をつけています。
いや、相手には自分の存在を気づいてもらいたいものの、ネットで追いかけていることは知られたくない。
そんなところでしょう。
主人公が「君」を探す理由は「好きだから」に尽きると解釈できます。
サビの歌詞をチェック
悪魔のタネとは?
悪魔のタネが育つ
時間の問題だよ
出典: ロマンス/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
サビでこの曲のキーワードとなる「悪魔のタネ」が出てきました。
これは「悪意」くらいに解釈するのが適当でしょうか。
天使が人々を「善」へ導く存在だとすると、その逆になるわけです。
相手に害を及ぼす可能性があると自覚しながらも、抑えられない欲望。
度を越したネットストーキングをしてしまいそうになっているわけです。
悪意に満ちた欲望は増すばかり。
想像に留まらず、現実化しそうになっている様子です。
要するに、相手が不快な気分になることを実行するのは確実、ということ。
具体的に何をしようとしているのかはわかりませんが、危ない状態です。
悪意に満ちた欲望の肥大化
そうだよ
女の子は欲しいものばかりだよ
出典: ロマンス/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ