冷たく 冷たく 不安定な夜が
同じような人が僕を
慰めてくれるから
出典: DROP/作詞:美波 作曲:美波
夢を追うことに疲れてしまった主人公にも、心を許せる仲間はできたようです。
夜は冷たくて気持ちも落ちていくけれど、そんな自分と同じような夢に破れた仲間の存在。
そんな仲間が慰めてくれると、ひとときホッとできるのでしょう。
だんだんと歌詞にひらがなが入り硬さが消えていく
主人公の気持ちがだんだん変化していくのが感じられる2番のサビです。
夢をあきらめたら、少し自分らしさが取り戻せてきたのかもしれません。
「のらりくらり」でよいことになった
私はずっと あれからずっと あのままずっと 変われてないよ
のらり くらり 変わっていったのはこの街とお前らじゃないか
それとも君か 君かい いや僕だ
出典: DROP/作詞:美波 作曲:美波
がんばろうとしたけれど、結局なんにもものになっていないよ、という主人公。
「のらりくらり」という歌詞が、ここでは漢字ではなくひらがなになっています。
ガチガチに冷たく固まっていた主人公の心ですが、少し心の緊張がほどけているのでしょう。
それはもう、夢をあきらめようと肩の力が抜けたからなのかもしれません。
変わったのは東京の街だよね、君だよね、君だよねと周りを見回してみます。
でも変わっていないと思っていた自分こそが、東京の街で揉まれて変わったんだと気づきます。
都会の片隅にできていた自分の居場所
それでもずっと私ずっと相変わらずずっと待ち続けてるよ
欲しいものも手に入れれば何も見えなくなっていく
そうやってきっとこれからずっと
確かにここにあるのに消えていく
出典: DROP/作詞:美波 作曲:美波
主人公は夢破れて都会をあとにするわけではなく、東京に残ることに決めたようです。
夢なんてかなったら、その瞬間に「当たり前」になってしまうからつまらないと達観したのでしょうか。
これからも何かを手に入れてうれしい気持ちになるけれど、それは一瞬のことであとは当たり前になる。
手に入れた満足が長続きしない、その刹那的な充足感でもいいと思ったのでしょう。
都会はせちがらいしスピードが早いし生きづらいと感じていたのですが、心に変化がありました。
必死になっていた気持ちが落ち着き、都会のスピードにだんだんなじんできたのです。
大きな夢はかないませんでした。
でも、小さな希望は少しずつかない、それが当たり前になるということを繰り返し…。
主人公は、都会に居場所を見つけたようです。
ドロップへの執着が終わる瞬間がやってくる
キラキラと輝いて見えた、甘くておいしいドロップ。
それをずっとなめていたけれど、主人公はその甘ったるい時間を終わりにする覚悟ができたようです。
あきらめたときに見えてくる次の希望
本当くだらないよな
いつだって僕達は臆病のど真ん中に立って
いつか見た街中のポスターかっこいいって思ったんだ
そろそろ飽きてしまうから
溶(な)くなる前にかんでしまうよ
出典: DROP/作詞:美波 作曲:美波
追いかけてもかなわない夢をあきらめて、もういいやと思った瞬間、心が楽になったのでしょう。
もうがんばらなくていいや、と決めたのは臆病な気持ちなのかもしれません。
でも、昔見たときには何も感じなかったポスターが、今の主人公にはかっこよく見えるのです。
きっと、今まで重かった都会の景色が、もっと自然で明るいものに変わってきたのでしょう。
都会での普通の暮らしを知り始めた主人公が、ドロップを噛んでしまうといいます。
「ドロップ」は、主人公のかなえたかった夢のことでした。
それをもう噛みくだいて飲み込んで、なかったものにしてしまうと言っているのです。