優しい歌い出し

今の状況とは

さぁ羽のばして ここから
捉われてばっか だったから
行き詰った悦びを手放す時は今

出典: もうええわ/作詞:藤井風 作曲:藤井風

【もうええわ】は囁くような優しい歌い出しで始まります。

歌詞を見ると、歌い手どこかへ行こうとしているようです。

行先は今よりも自由な場所であることがうかがえます。

一方、現在の場所は不自由だったようですね。

行動を制限されているのか、精神的に窮屈なのかは分かりません。

しかし何かに阻まれ、自由が奪われた状態が続いていたようです。

また、八方ふさがりの状態だったことも示されています。

そこから抜け出したい、ということですね。

しかし、その状態を「よろこび」だと表現している箇所があります。

これは一見矛盾しているように見えますね。

ですがこう考えればつじつまが合います。

歌い手は元々、現在の状況を、よろこばしく思っていたのでしょう。

しかし何かの転機を迎えます。

それをきっかけに、自分の状況を窮屈に感じるようになったのかもしれません。

つまり今と過去で考え方が変わったということです。

以前はよろこびだった環境も、今では窮屈になってしまったのでしょう。

自分だけじゃない

みんな 先が見えない夜道を
共に 迷い歩く夜更け時
うつむかないで 怯えないで
閉ざした扉 開いて

出典: もうええわ/作詞:藤井風 作曲:藤井風

こう思っているのは歌い手だけではありません。

歌い手は周囲を巻き込むような表現で、歌詞を歌い進めます。

誰しも、未来に不安を覚えるでしょう。

時に道に迷ってしまう時もあります。

恐らく歌い手が逃れようとしているのは、こういったごく自然の環境です。

つまり誰もがこの窮屈な世の中にいることを示しています。

皆、抱えているものは一緒です。

そんな同胞たちに、歌い手は優しくさとすように語り掛けます。

「大丈夫だよ、怖くないから。」と。

今いる環境は閉鎖的なものです。

しかしその空間は、歌詞を見ると誰かに強制されたものではない様子。

受動態ではなく、能動的な歌詞の表現がそれを物語っています。

つまり閉じこもっているのは自分自身だということです。

だからこそ、そこから脱するためには自ら広い世界へ飛び出す意思が必要。

「さぁそのドアをノックして。」と言わんばかりの歌詞です。

【もうええわ】の意味

現状への諦め

もうええわ 言われる前に言わして
もうええわ やれるだけやって後は任して
もうええわ 自由になるわ
泣くくらいじゃったら笑ったるわ アハハ…

出典: もうええわ/作詞:藤井風 作曲:藤井風

曲はサビに入ります。

サビで印象的なのは【もうええわ】というフレーズ。

タイトルにもなっているこのフレーズが幾度となく繰り返されます。

では、【もうええわ】という言葉にはどんな意味がこめられているのでしょうか。

考えられるのは、今いる世界への諦めでしょう。

大阪弁では何かを諦めるときや、やめるときに【もうええわ】と言います。

つまりこの状況から抜け出したいという意思の表れでしょう。

「もう」という言葉からは、今までは違ったことが読み取れます。

今までさんざんここで暮らして来たけれど、【もうええわ】。

きっと今までは色々な努力をしてきたことでしょう。

しかしそれも積もり積もって、限界を迎えたのかもしれません。

そんな歌い手の気持ちが推察できますね。

より良い日常を求める意志

もうええわ 言われる前に先に言わして
もうええわ 付き合ってあげれんでごめんね
もうええわ 自由になるわ
泣くくらいじゃったら笑ったるわ

出典: もうええわ/作詞:藤井風 作曲:藤井風

歌い手は元からこの世の中に疲弊していたわけではないでしょう。

いままではこの窮屈さをよろこびと認識していたくらいです。

少なくとも、この世界に愛着はあるように思えます。

歌詞には「合わせる努力はした」といった意味合いの言葉も。

謝罪を表す歌詞を見るに、名残惜しい気持ちもあるようです。

つまり今の環境で限界まで頑張った、ということでしょう。

しかし、社会で生きていくうえで色々な圧力やプレッシャーがのしかかります。

お金を稼がなくてはいけない、世間体を気にしなくてはいけない。

家族や上司からの目など、色々なことを気にして生きていきます

そうするうちに自分自身の心がなりをひそめてしまうのです。

こうしたことから、窮屈さを感じ始めたのではないでしょうか。

弱い人間

心の傷は治りにくい