全米制覇の狼煙「抱きしめたい」
ハグはしません
1963年11月発表、ビートルズの通算5作目のシングル「抱きしめたい」。
セカンド・アルバム「With The Beatles」と同時期に録音された楽曲です。
ただし、オリジナル・アルバムには収録されませんでした。
「抱きしめたい」はビートルズがアメリカで大成功するきっかけになった曲です。
初期のビートルズの楽曲といえば「シー・ラヴズ・ユー」とこの曲を思い出す方が多いでしょう。
日本でも最初に発売されたビートルズのシングルはこの「抱きしめたい」です。
「抱きしめたい」という邦題ですがハグする場面は一切出てきません。
それでも恋に落ちたことのある方ならば必ず分かるであろう感情を歌詞にしています。
ごゆっくりお付き合いください。
ジョンとポールの完全な合作
ビートルズ初の4トラック録音
Oh yeah, I'll tell you something
I think you'll understand
When I say that something,
I want to hold your hand,
I want to hold your hand,
I want to hold your hand.
出典: 抱きしめたい/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney
歌い出しです。
歌に入る前のギターリフも印象的でしょう。
ジョンとジョージがギター、ポールがベースで同じフレーズをユニゾンで演奏します。
その分、音が分厚くなっているのです。
また、この曲はビートルズが初めて4トラックのマルチ録音をした作品。
作詞作曲はジョンとポールによる完全な合作です。
本人いわく「ふたりの鼻がくっつくくらいの真剣さで合作した」といいます。
君の手を握りたい!
「Oh yeah
君にいいたいことがあるんだ
君なら理解してくれるはずだと思うよ
僕は何かをいおうとすると
君の手を握りたくなるんだ
僕は君の手を握りたくなるんだ
君の手を握りたくなるんだよ」
付き合いたての恋人同士か、付き合う前の微妙な時期の状況を歌にしています。
相手への愛おしさが増してしまい、つい手を握りたくなってしまう男性の心境です。
この歌は男性が女性の手を握りたいという内容ですが、こうした自然な気持ちは男女関係ないはず。
ただし、手を握りたいとしかいわない歌詞がなぜ「抱きしめたい」という邦題になったのかは謎です。
「抱きしめたい」という強い愛の気持ちよりはもう少し穏やかで可愛い歌詞になっています。
しかし、どんな恋愛でもいつ相手の手を握るかということは頭を悩まされる問題です。
この歌詞の主人公のように手を握りたいということを言葉にしてしまう人は稀かもしれません。
さり気なさを意識しすぎて全然さり気なくならない。
そんな失敗の繰り返しのうちにいつの日か自然に手を繋げるようになります。
ふたりは恋人未満
主人公の熱意
Oh, Please say to me
and let me be your man.
And please say to me
You'll let me hold your hand,
Now, let me hold your hand,
I want to hold your hand.
出典: 抱きしめたい/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney
2番の歌詞になります。
易しい英語ではありますがまず和訳を見ていきましょう。
「お願いだから、伝えて欲しい
僕を君の恋人にしてあげてもいいって
お願いだから、伝えて欲しい
僕に手を握らせてあげるって
僕も君の手を握るよ
僕は君の手を握りたくなるんだ」
和訳よりも原詩をそのまま読み解いた方が自然に解釈できるはずです。
日本語表現では「お願いだから、伝えて欲しい 僕に手を握らせてあげるって」の辺りが不自然になります。
申し訳ございません。
ふたりはまだ恋人にはなっていないようです。
これから「Your man」にしてくれと主人公は相手に訴えます。
もしかしたら手も握っていないのでしょうか。
解釈はどちらにでも取ることができるようにできています。