斉藤和義の「月光」
今回は斉藤和義さんが唄う「月光」に注目してみました。
オダギリジョー主演のフジテレビ系ドラマ ドラマチック・サンデー「家族のうた」の主題歌にも抜擢され話題に。
この楽曲は、斉藤和義さんのファンだけでなくドラマを観ていた人たちの心にもグッと刺さる作品です。
「ザ・ロックンロール魂」をブルース調で思い切りぶつけてくるまさに和義さんらしい楽曲。
自分の現状に納得がいかない!
オレはこんなもんじゃないんだって!
こんなハズじゃないんだって!
信じておくれよ
わかってないアイツらがセンスのないアイツらがバカなだけなのさ!
だからどうかあともう一杯だけ
出典: 月光/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
冒頭から始まるこの歌詞が表しているのは、ドラマ「家族のうた」の主人公です。
かつて世間から絶賛され人気のあったロックバンドのボーカル&ギターを担当する男、早川正義の心情ですね。
ソロ活動をスタートしたのは良いけれど、バンド時代のようにうまくいかず仕事も減ってしまうような状況に。
本当の自分は過去のように輝けるはずだし能力もあるのに、それを周りが理解してくれない。
そんなもどかしい正義の理不尽な世の中への苛立ちを歌っているのです。
「こんなはずじゃないんだ、周りが自分を分かっていないだけなんだ!」
そんな気持ちをギターに合わせ語り口調で、力強く伝えています。
自分が思っていた理想と現実のギャップ
ロックンローラーたちの名言に影響され…
キースリチャーズは言った
「ロックはあるけどロールはどうしたんだ?」
ジョーストラマーは言った
「月に手を伸ばせ たとえ届かなくても」
だから行くなよ後悔しても知らないぜ
出典: 月光/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
1行目はイギリスのロック・ミュージシャン、ギタリストである「キースリチャーズ」の名言。
「ロック、ロックというけれど、肝心の『ロール』はどうしたのか?」ですね。
「ロール」を日本語にすると、転がる・転がすという意味です。
音のリズム感や激しさコードを自由に操り感情を表現する意味合いを持っていると考えられます。
そうしたロックンロールの大切な部分を忘れてはいけないというメッセージを伝えたいのでしょうか。
また4行目は、イングランド出身のロック・ミュージシャン、ジョーストラマーの言葉。
「ザ・クラッシュ」のボーカル兼ギタリストであった彼のロック音楽に全力を捧げた人生を表す名言ですね。
主人公正義がかつてのロック界の有名人はこんなことを話していた、と言うシーンがありました。
そこに、和義さん自身が思い浮かべる、ロックンローラーたちの名言を重ね合わせているのでしょう。
自分の夢は消えてしまう
月も見えない夜に 何処かで犬が吠えてる
「サヨナラ」って聞こえたよ それともしぼむ夢の音?
出典: 月光/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
語り口調だったところから、今度はブルース調のギターに合わせてサビに向けて盛り上がっていきます。
「月」という言葉は、和義さんの楽曲ではよく出てきますが、この曲のタイトルも「月光」です。
月がキーポイントになっていることが、この歌詞の部分から分かりますね。
月も見えないほどの暗い夜、犬の夜の遠吠えが聞こえてくる様子です。
それはなんだか悲しげで寂しげな重たい空気感が思い浮かびます。
どこからか「サヨナラ」と聞こえたのは「しぼむ夢の音」。
つまり自分自身の理想としていたロックンローラーとしての夢が閉ざされていくような…。
そんな悲しく切ない自分の声なのかもしれません。
本当は愛したくて愛されたいのに…
愛しているという言葉を伝えられない
愛しているよと言えなくてひとり歌を唄う
あなたとともに唄えたなら とてもうれしい
出典: 月光/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義