終わることを意識した世界
千年続く愛情を 千年続く友情を 千年続く安心を 千年続く幸福を
千年続く自負心を 千年続く安らぎを 千年続く友愛を 千年続く熱情を
千年続くいたわりを 千年続く尊厳を 千年続く生命を 千年続く喜びを
終わりがあるから美しい そんなの分かりたくもないよ
終わりはいつも早すぎる
出典: 千年幸福論/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
「終わること」に抗おうとする歌詞は、amazarashiとしては珍しいものです。
ありのままを受け入れることの強さを歌っている作品群の中では、異色のフレーズではないでしょうか。
そんなamazarashiの作風を踏まえて聴くと、「終わりはいつも早すぎる」にむしろ希望が感じられる一節です。
【5位】ジュブナイル
『ジュブナイル 』はファンの間でも人気の一曲です。
思春期特有の悩みや苦しみ、そして絶望を歌い上げています。
しかしそれらをひっくるめて「自分」という存在を生きていこう。
そんな応援歌になっています。
ただ笑えるなら
君が君で居られる理由が 失くしちゃいけない 唯一存在意義なんだ
ここに讃えよ愚かなジュブナイル 最後の最後に 笑えたらそれでいいんだよ
物語は始まったばかりだ
出典: ジュブナイル/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
ティーンだからこそ、生きたいと死にたいの狭間で揺れ動く時があります。
それは自分自身の存在証明を見失っているからではないでしょうか?
たとえ見失ってしまっても、ただそこで笑っていられる価値を肯定してくれるフレーズになっています。
【4位】アノミー
「アノミー」は社会秩序が崩壊した状態を示す言葉です。
初のドラマ主題歌になった『アノミー』では、秩序が乱れきった世界にもわずかに残る愛について歌っています。
「愛」だけが残る世界
神様なんて信じない 教科書なんて信じない
歴史なんて燃えないゴミだ 道徳なんて便所の紙だ
全部嘘だ 全部嘘だ って言ってたら全部なくなった
愛する理由が無くなった
殺さない理由がなくなった
愛って複雑な物なんです なんて歌ってる馬鹿は私だ
アノミー アノミー
そんなら この神経過敏な愛で 救えた命はあったか?
アノミー アノミー
救ってよ
出典: アノミー/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
「神様」や「教科書」などは秩序を象徴するものです。
思考停止のままでいても「歴史」や「道徳」に従っていれば、世界はそれとなく回り続けます。
でもそれは絶対的な価値観ではありません。
むしろ欺瞞にまみれたものだと訴えていたらどこにも救いがなくなってしまいました。
信じるべき道標を無くした無秩序の世界では、もう愛しか信じられないのかもしれません。
「愛する理由がなくなった」と言いながらも、最後に残った愛にわずかな希望を見出しているのでしょう。
【3位】つじつま合わせに生まれた僕等
『つじつま合わせに生まれた僕等』は2017年にポエトリーが追加されたMVが制作されました。
文字通り「雨曝し」となりながら歌うシーンの随所に、amazarashiが影響された著作が見受けられます。
べストアルバム『メッセージボトル』のリードトラックとして、迫真の誦読は必見です。
ふざけた歴史のどん詰まりで 僕等未だにもがいている
結局何も解らずに 許すとか 許されないとか
死刑になった犯罪者も 聖者の振りした悪人も
罪深い君も僕も いつか土に還った時
その上に花が咲くなら それだけで報われる世界
そこで人が愛し合うなら それだけで価値のある世界
だからせめて人を愛して 一生かけて愛してよ
このろくでもない世界で つじつま合わせに生まれた僕等
出典: つじつま合わせに生まれた僕等/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
どうしようもない世界を嘆くようなワードが連なります。
でもそんなクソみたいな世界でも、人を愛せるなら価値が見い出せるのかもしれません。
4位で紹介した『アノミー』にもどこか通ずるものがありますね。