徹底分析!乃木坂46「僕がいる場所」
乃木坂46「僕がいる場所」とは?
乃木坂46「僕がいる場所」の内容は語り手の「僕」から「君」に向けた愛情を表しています。
こう書くと普通のラブソングのようですが、実はとても独特な歌なのです。
「僕がいる場所」が他のラブソングと違うところは、「僕」が亡くなった人であることを想定している点です。
「僕」が亡くなることで関係を引き裂かれてしまった「君」が悲しむのを空の上から案じ、それでもなお側にいて慰めようとする様子を描いています。
そんな不思議な歌詞が、どうして人の胸を打つのでしょうか。
以下からは、歌詞を分けてそれぞれのかたまりごとにポイントを解説します。
歌詞の意味を深く考えることで、「僕がいる場所」がより一層心に訴える曲になってくるでしょう。
「生」と「死」を歌う不可思議な歌詞の魅力って?
「僕がいる場所」の内容は、大きく分けて2つです。
前半は死という逃れられない運命による別れ、そして後半は現世での再会を描いています。
ここでは歌詞を前後半に分け、それぞれの歌詞を分析してみました。
不可思議な歌詞の聞きどころに迫ります。
大切な人との離別を迎える<前半>
では、さっそく歌詞についてみてみましょう。
前半部分は大事な人との「離別」がキーワードです。
死という避けられない別れを迎えた時の苦しさ、辛さに重点を置いています。
君のことを考えた
僕が死んだ日のことを…
ずっとそばにいたいけど
別れはやって来る
出典: 僕がいる場所/作詞:秋元康 作曲:杉山勝彦
まずは出だしとなる部分です。
すでに「死」という切ない言葉が出てきていますね。
ここでは、まず語り手となる「僕」が、自分が死ぬことを想定して「君」に語りかけています。
大切な人とずっと一緒にいたいのですが、人はいつか死を迎えて離れ離れにならなければならないという現実があります。
君はきっと泣くだろう
僕のいない現実に…
いくら泣いても泣いても
涙が止まらない
出典: 僕がいる場所/作詞:秋元康 作曲:杉山勝彦
続いて「僕」は「君」が取り残された後一人で泣いている状況を想像して、心配します。
大事な人が悲しんでいつまでも泣いているところは、見る側の涙をも誘います。
この部分の3行めからは残された側である「君」ばかりか、「僕」の方もきっと心配で胸を痛めていることが推測できます。
空の上から見てる(僕も)
悲しくて悲しくて(つらい)
でも叫んでも
声は届かない
慰めようにも
見えない存在さ
出典: 僕がいる場所/作詞:秋元康 作曲:杉山勝彦
ところが、「僕」のそんな心配は「君」には届きません。
「僕」の声は届かない上、姿を見ることもできないからです。
こんなにも想っているのに、伝えることができない辛さが表れています。
見守る存在へと変わる「僕」
だから決めたんだ 僕がいる場所を…
部屋の右側の壁の端っこに
悲しくなったらここへおいで
背中つけて
出典: 僕がいる場所/作詞:秋元康 作曲:杉山勝彦
ここが「僕がいる場所」のサビ部分で、内容に転換が起きるところです。
「僕」は、これまでのただ離れたところで心配する存在ではなくなり、「君」の側に留まり見守る存在へとシフトします。
この部分から、「僕」が「君」を慰めようとする優しさが伺えます。
死という永遠の別れを超えてなお、側にいてくれようとしているのです。
背中を壁につけるよう促すところは、まるで「僕」が「君」を背後からそっと優しく抱きしめてくれるようなイメージが浮かびます。