milet「Drown」解説
砂漠で溺れる?
2019年3月にメジャーデビューを果たしたmilet(ミレイ)さんは唯一無二の歌声が魅力です。
しゃがれ声なのに、あふれる透明感。
ソウルフルな野太さもありつつビョークみたいな北欧テイストも感じます。
今回ご紹介する「Drown」は、2019年11月にリリースされた4枚目のEP「Drown / You & I」の表題曲。
miletさんがアメリカの砂漠でオオカミと出会うという衝撃的な内容です。
「溺れる」という意味のタイトルですが、砂漠をさまようイメージも浮かんでくるのではないでしょうか。
ヴィンランド・サガ ED曲
11世紀初頭の北ヨーロッパ及びその周辺を舞台に繰り広げられる、当時世界を席巻していたヴァイキングたちの生き様を描いた時代漫画である。タイトルのヴィンランドは北アメリカ大陸にあったとされるヴァイキングの入植地のひとつで、主人公のトルフィンは11世紀に実在したと言われるアイスランド商人ソルフィン・ソルザルソンをモデルにしている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴィンランド・サガ
1番の歌詞をチェック
荒野にはいない?
Feeling like I'm alomst there,
but I'm not
音もない風に漂う bones
途切れて消えない声の方
何も知らないまま
戻れないでしょう
出典: Drown/作詞:milet・Ryosuke“Dr.R”Sakai 作曲:milet・Ryosuke“Dr.R”Sakai
miletさんはカナダへの留学経験があり、英語と日本語の混ざった作詞が多いです。
和訳すると以下のとおりになります。
私はほとんどそこにいるみたいだけれど、実際はそうではない。
その後に続く日本語では、骨が転がる荒野で孤立してさまようようなイメージが浮かんできます。
ただ、英語の部分も含めると、実際は荒野にはいないことになるでしょう。
描かれている雰囲気としては、「ヴィンランド・サガ」で北欧の海賊がアメリカに入植する様子が連想できます。
しかし、歌物語としてはアニメの世界観に入り込むわけではなさそうです。
むしろ俯瞰しつつ寄り添う、独自のスタイルを提示。
MVで描かれていた、オオカミと出会う砂漠に実際いるのかどうかも謎めいているかもしれません。
歌物語としての前置き
同じ色の目にうつる
違う色の息を吐く
出典: Drown/作詞:milet・Ryosuke“Dr.R”Sakai 作曲:milet・Ryosuke“Dr.R”Sakai
続く歌詞も、非常に抽象的です。
「目の色は同じでも、吐息の色は異なるように見える」といった内容ですが一体どういう意味なのでしょうか。
確かに瞳の色は人によって違いがあるので、同じ色だと仲間の雰囲気が漂います。
ところが物理的に口から吐く息は、寒いと白くなることはあっても、常温以上だとほとんど無色透明。
赤い息を吐く人もいれば、青い息を吐く人もいる。そんなはっきりとした色の違いはありません。
つまり、息の色は何かの例え。
仲間同士でも落胆してため息をつく人もいれば、歓喜の声をあげる人もいるといった光景が浮かびます。
あるいは「ヴィンランド・サガ」のテーマ曲として同じ作品に取り組むけれど、歌物語として描く内容は別。
こうしたmiletさんの楽曲に対する心構えが前置きとして述べられているとも考えられます。
「息を吐く」とは「歌う」ことを表現していると解釈しました。