勇気になる「Faraway」
1980年代サウンドとモダンの融合
2013年9月4日発表、miwaの12作目のシングル「Faraway」。
とにかく同世代の女性を勇気付けたいというmiwaの気持ちがあふれ来る作品に仕上がりました。
後のベスト盤「miwa THE BEST」にも収録される彼女の傑作シングルです。
この曲でmiwaはアコースティック・ギターだけでなく様々な楽器を演奏しています。
中でもアナログ・シンセサイザーの銘器「プロフェット5」をプレイ。
この効果で1980年代サウンドを目指したそうです。
とはいえ、現代のスタジオでの録音作品ですからモダンな音作りとの融合がなされています。
決して古臭いサウンドではなく、むしろ不思議なくらいに近未来的なアプローチに思えるのです。
また、歌詞の方もmiwaの魅力が全快で表現されています。
同世代や若い女性たちへの優しい応援歌になっているのです。
この曲「Faraway」の歌詞を分析してmiwaが伝えたかった熱い想いを解き明かします。
それでは歌詞を見ていきましょう。
ディテールにユーモアが宿る
思い描いた未来は遠い
あの時願った場所はどこまでも近づくほど 遠くなる気がする
タイムマシンも透明マントもまだ未完成
出典: Faraway/作詞:miwa 作曲:miwa & Naoki-T
凛としたmiwaの声が魅力的な歌い出しです。
歌声だけでmiwaの曲だと分かるのが彼女の強みでしょう。
歌詞は未来の世界の猫型ロボットのマンガを思い起こすようなユーモラスなものです。
この曲「Faraway」はこの後にも随所にmiwaのユーモアが光ります。
とはいってもコテコテのお笑いではなく上品にディテールにユーモアの魂を宿すような作風です。
今でも充分若い彼女ですがもっと若かった頃に誓った未来と現在地の乖離を再確認します。
人は誰でも思い描いた未来にたどり着くのは至難です。
自分の意志の強さだけが人生の指針ですが、社会の壁などに阻まれて目的地にたどり着けないことも。
ではどうすれば思い描いたように人生を歩んでいけるでしょうか。
先を見ていきましょう。
過酷な現実との闘い
若い女性たちへ手招きする
現実はきれいなものばかりじゃないから 油断したその隙に
失くさないように奪われないように大事に 持ってた 守ってた
できる 入口はここだよ おいで
出典: Faraway/作詞:miwa 作曲:miwa & Naoki-T
「現実は過酷」
この言葉が同義反復だと見抜いたのは哲学者のエマニュエル・レヴィナスです。
ここでmiwaが伝えたかったものはもう少し軽い意味なのですがリアリストの側面を魅せます。
淡い愛を描くことが多い彼女が現実の厳しさに注意を喚起するのはレアなことです。
彼女が大事に抱えているものは一体何でしょうか。
きっと心の中に持ち合わせているものの中でもいちばん大切なものだと推測できます。
そして同じように大切なものを抱えて生きている若い世代の女性たちに手招きするのです。
彼女の手招きに応じたらどんな未来が約束されるのか。
いよいよ次が最初のサビです。
歌詞を見ていきましょう。
キラキラで軽快なサビ
伝えたい想いが大事
愛を込めて 時間をかけて 大切に育てていこうよ
I'm so setsunai(想いは人より) 伝えたい つなげたい
twinkle, twinkle I'll be with you
高まるドキドキ ロマンティックあげるよ
出典: Faraway/作詞:miwa 作曲:miwa & Naoki-T
サビの歌詞です。
言葉はキラキラで軽快ですが内容には一定の重さがあります。
他者と、特にパートナー、未来のパートナーへの想いを相応の時間を費やして大事に育むこと。
さらに想いを伝えることの大切さを歌っています。
生まれた愛は伝えることで成就するものです。
せっかく胸のうちに生まれたものなのですから大事に育てあげたいでしょう。
切なさは押し殺したりせずに自然に感じ続けて自分の想いをより強くすることを勧めています。
これがmiwaの指し示す入り口です。
難しい言葉を使わないmiwaの歌詞ですから深読みする必要はあまりないでしょう。
指し示された課題をクリアできた先にきっと私たちの幸せが待っています。
貴女が道に迷っているのならばまずは私の歌を聴いて欲しい。
彼女のそんな想いがこの可愛い歌詞に結晶しているのです。