高橋優さんのデビュー曲
高橋優さんといえば、「明日はきっといい日になる」や「福笑い」「同じ空の下」など、優しくて温かい楽曲に定評がありますし、イメージも強いですよね。
しかし、世間の闇を切り裂くような挑戦的な楽曲も数多く手がけています。中でも、デビュー曲となった「素晴らしき日常」は優さんの世間に対する思いがぎゅっと詰まっています。
「こどものうた」との対比
「素晴らしき日常」はメジャーデビュー曲ですが、インディーズ曲としては「こどものうた」も有名です。筆者は「福笑い」と「こどものうた」を聴いて優さんのファンになりました。
あれだけ希望や人とのつながりを歌える人が、世間の闇を射貫くような鋭い歌詞を書いていることに衝撃を受けました。
怒りをストレートに歌った「こどものうた」
「こどものうた」では、世の中に対する怒りがストレートに歌われています。セクハラや虐待など、世の中には目を背けたくなるような現実がたくさんあります。
そんな境遇に負けず「生き抜いて」と子供たちに訴えかける優さんの声が、とても印象に残っています。
「こどものうた」では心に突き刺さるような強いメッセージをありのままに歌っていますが、「素晴らしき日常」では、怒りよりも世界の美しさや素晴らしさを歌っていますね。
これは、優さん自身も意識したそうです。「こどものうた」はかなりセンセーショナルな歌なので、人によっては拒絶してしまうでしょう。
しかし「素晴らしき日常」はどこか救いのある曲なので、少しとっつきやすい曲になっていると思います。
より多くの人に歌を届けるという意味では、ストレートな感情をぶつけるより、少しオブラートに包んで、希望も持たせた方がよいのかも知れませんね。
根底に流れる愛
「こどものうた」とは大分テイストが違いますが、どこか世の中に対して不満を持っていたり、自分の境遇を嘆いていたりする部分はあります。
また、まっすぐな人を馬鹿にしたり陥れたりするような人たちを揶揄したような表現は健在です。
それでも、そこからにじみ出す悲しみや怒りというものの底には、優さんの深い愛情があると感じました。
「こどものうた」ではセクハラ教師や暴力ママを批判しながら、「そんな世界なら捨ててしまえ」とは言わず、「生き抜いて」と願うように歌っています。
怒りよりも優しさが目立つ歌詞
「素晴らしき日常」でも、イジメやそれを取り扱うメディアなどを揶揄していますが、「まだ立ち上がれるかい?」と、前に進むことを促している点が違います。
このような歌詞が出てくるのは、高橋優という人が、人間というものが好きだからでしょう。優さんは子供の頃、ひどいイジメに遭っていたそうです。しかし、それでも人とのつながりを大切にしています。
人間不信になるのではなく、どうにか誰かを好きでいたい、そんな人間でありたいという優さんの人間愛があるからこそ、どの楽曲も胸に響くのだと思います。
優さんの考え方がよく分かる歌詞
苦手な人は数知れず 嫌いになった人もいる
だけど嫌いなその人を 嫌いなままでいたくない
憎しみたくて生きている 人なんているはずがない
だけど他に行き場もなく 憎しみ続ける僕たち
出典: アイアンハート/作詞:高橋優 作曲:高橋優
どんなに苦手な人であろうと嫌いな人であろうと、どうにかして好きになれないか。そうやって人とのつながりを大切にしている優さんの考え方は、今でも変わっていないようです。
だからこそ、多くの人の心に届くのでしょうね。最近では「虹」や「ロードムービー」「シンプル」のように、よりとっつきやすい曲が増えている優さん。
しかし個人的には、初期のような皮肉を取り混ぜた、なおかつどこかに救いのある曲、まさに優さんにしか書けない、クセの強い曲も聴きたいです。
「素晴らしき日常」の歌詞を紹介
では、いよいよ「素晴らしき日常」の歌詞をご紹介しましょう。