同調圧力に負けない
白い羊なんて僕は絶対になりたくないんだ
そうなった瞬間に僕は僕じゃなくなってしまうよ
まわりと違うそのことで誰かに迷惑かけたか?
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
主人公は、群れることを嫌います。
群れの中で発生する「同調圧力」に耐えられないのです。
主人公は自分は人に迷惑を掛けているつもりはないと主張します。
しかし、群れの中にある存在を疎ましく思う「空気」を主人公は敏感に受け取るのです。
主人公は群れの中のその「空気」に負けたくないという意思を持っています。
主人公にとって「黒い羊」でいることをやめてしまうことは、自身のアイデンティティーの崩壊につながってしまうからです。
周囲の顔色を窺うことで自分自身を曲げるということへの強い反抗心がここにも表現されています。
群れを支配するボス
髪の毛を染めろと言う大人は何が気に入らない?
反逆の象徴になるとでも思っているのか?
自分の色とは違うそれだけで厄介者か?
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
その群れには「ボス」にあたる存在がいます。
それが「大人」。
大人が群れを支配し、主人公に対して意にそぐわないことを強要するのです。
主人公は自分の思いを表現しているだけ、それが大人には理解されません。
Oh
自らの真実を捨て白い羊のふりをする者よ
黒い羊を見つけ 指を差して笑うのか?
それなら僕はいつだって
それでも僕はいつだって
ここで悪目立ちしてよう
出典: 黒い羊/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
主人公は、直接的に攻撃してくる大人だけでなく、それに同調する群れにも異を唱えます。
そして、自分を曲げないと力強く宣言して、曲が終わります。
楽曲の最後まで、主人公は頑なです。
周囲から嘲笑されようと、大人達に邪魔者扱いされようと、自身の姿勢を貫き通す。
一貫して誰にも干渉されたくないと主張する主人公の言葉は、我儘にも聞こえてしまいます。
しかしそれでも意見を曲げることなく自分は自分であると表現すること。
それは1人の人間にとって、生きていく上での美学にもなり得ます。
周囲と全く違う意見を言うというのは、想像以上に難しいことです。
群れの中にも、周囲の同調圧力に負けて自分の意思を言葉にすることが出来ない人がいたかもしれません。
その人物は、独りで立ち向かう主人公の姿を見て勇気を貰ったに違いないでしょう。
皆すぐには変われなくても、主人公の存在は徐々に周囲の考え方を変えていくのではないでしょうか。
主人公のその姿勢は不器用に見えますが、欺瞞だらけの世の中において私たちの心に力強く響きます。
ところで、黒い羊とはどういう意味なのか
以上が歌詞の解釈ですが、タイトルにもある「黒い羊」は、なぜ羊なのでしょうか?
ご存じの方も多いと思いますが、英語には"black sheep"という熟語があります。
これは「(一族の)厄介者、面汚し」という意味。
つまり、単に「周りと違う」だけではなく、「迷惑な存在」として扱われているのです。
余談ですが、米津玄師さんが「Black Sheep」という曲をリリースしています。
このことから、発売前にある憶測が飛び交いました。
それは「『黒い羊』は米津玄師さんとのコラボになるのでは?」という憶測です。
欅坂46「黒い羊」と米津玄師さんの「Black Sheep」に関係が!? : 欅坂46/日向坂46まとめもり~
100: 2019/01/19(土) 23:28:31.41 ID:tT21JixJ0 米津さんのBlack Sheep、よく考えたら黒い羊が四十五匹まで数えたあと、「黒い羊が」で終わってて、そこって46匹だよなーとか思った、米津さん関係ないよね...同じSONYだけど曲は秋元さんが作るよねー知ってるというか米津さ
群れと集団
さて、いままでの歌詞の解釈では、「群れ」という言葉をあえて使ってきました。
似た言葉に「集団」というのがあります。
辞書的な意味ではほぼ同じ言葉ですが、違った解釈をする場合があります。
- 群れ=自信のない個人が、つるむことでなんとなく安心感を得たりする
- 集団=自己の確立している個人がそれぞれの個性を認め合いまとまる
集団の中においては、全員がそれぞれ「黒い羊」の面を持っています。
それを互いに認め合うことで、つながりを感じるのです。
こうした解釈を元にこの2つの言葉を考えていきましょう。
そうすると、「群れ」という言葉はお互いに依存し合っているような状態を表していると感じられます。
対して「集団」という言葉は個人がそれぞれに自立しながら、ある目的に沿ってグループを形成している。
それぞれの言葉はそうした状態を表しているのだと考えられます。
欅坂46というグループ
欅坂46は、ある意味とてもバラバラなグループと言われることがあります。
これは部外者からの評価ではなく、メンバー自身が発言していることもあります。
ひとつ例をあげます。
ラジオ番組「欅坂46こちら有楽町星空放送局」(ニッポン放送ほか)でのエピソードです。
この日は平手友梨奈さんと齋藤冬優花さんがパーソナリティー。
2017年夏のツアーについて、リスナーからのメッセージを読み会話をしていました。
メッセージは、齋藤さんのブログにあった「メンバーの方向」について。