第10位 ドーナツホール

2014年4月に発売された2ndアルバム『YANKEE』に、同名曲のCOVERバージョンが収録。

元々は「ハチ」名義で作詞作曲されたものにVOCALOIDが使用され、2013年10月に「ニコニコ動画」と「Youtube」へ投稿されていました。

米津玄師が得意としてきたジャンルでもありますが、打ち込みではなく生のバンドサウンドで演奏されており、新感覚の楽曲です。

「ドーナツの穴みたいにさ 穴を穴だけ切り取れないように」と上手く表現された歌詞が特徴的です。

思い出すことができる事、忘れ去ってしまった事、人との出会いや別れ、そして自分の人生を通じて、様々な感情が言葉になって浮き彫りになるような楽曲です。

「ドーナツホール」が収録されているアルバムをチェック

上で少し触れていますが、この楽曲はセルフカバーという形で2ndアルバム『YANKEE』に収録されています。

ボカロで歌われている作品も雰囲気があって素晴らしいのですが、彼自身の憂いを含んだ声で歌われる「ドーナツホール」も必聴です!


ドーナツホールの歌詞解釈はこちら

ボカロPとして数々の快挙を遂げる米津玄師(ハチ)を特集します! 米津玄師の曲は独特な世界観で難解な歌詞を持つことで有名ですが、 今回は、筆者が個人的に好きな曲を取り上げて、歌詞を解釈してみました!

第9位 ポッピンアパシー

2013年10月リリースの2ndシングルに収録。

「MAD HEAD LOVE」との両A面として発売された楽曲であり、対照的な曲調や、ジャケットのイラストなど、二曲が一体となっている要素が多く見られます。

ネガティブなイメージを歌う「ポッピンアパシー」は、生きる意味を改めて問い質すような言葉が歌詞にも並んでいます。

また、この楽曲の特徴である強いデジタルサウンドは米津玄師本人の思い通りに、イメージを膨らませて作り上げられたものです。

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10位に続いてテンポ早めの作品である「ポッピンアパシー」。

歌詞は先ほどお伝えした通り“生きる意味を問い質す”感じなのですが、何だか不思議なタイトルの意味も気になりませんか?

タイトルの言葉を単語で分解すると“ポッピン”と“アパシー”に分解されるのですが、まず“ポッピン”というのは弾く事を指す単語なんですね。

また日本では長崎のお土産で有名な“ビードロ”のこともポッピンと呼んだりします。

次に“アパシー”ですが、これはギリシャ語で“感情の欠如”を指すんですね。

この2つの言葉をつなげて考えると、タイトルの“ポッピンアパシー”とは“欠落した感情の暴発”なのではと筆者は思います。

歌詞を読んでいても“今まで自分の過ごしてきた時間を無為に感じてしまう・このままじゃいけない・居ても立っても居られない”というような浮遊する焦燥感のようなものが見えるんですね。

具体的な方策は見えていないけれど、とにかくここにずっといるわけにはいかないから、走りだしたい!という“むやみやたら感”とでも言いましょうか……。

そうした漠然とした感情を、理論的な文章ではなくまるで絵を描くように、絶妙な言葉を選んでメロディに乗せていく米津さんはやはり表現に対して抜群の選球眼をもっていると感じます。

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第8位 MAD HEAD LOVE

既に出てきた「ポッピンアパシー」と同じく、2013年10月リリースの2ndシングルに収録。

「ポッピンアパシー」との両A面として発売されたこの楽曲は、対照的にハイテンションでポジティブな印象が見受けられます。

また深い愛が独特な表現で描かれている歌詞が特徴的でもあります。

同時に駆け抜けるような印象のサウンドも、爽快なスピードを感じさせるように軽やかに耳に残ります

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第9位の「ポッピンアパシー」が自分の立ち位置や居場所に対する“藁をもすがる救い”を求めている感じがするのに対し、8位の「MAD HEAD LOVE」には“無鉄砲でも愛を信じている”感があるように思えます。

たとえ世間にどう思われようと、何を言われようと、自分が信じているのは(大人にとって正解であろうとなかろうと)目の前にある愛だけ、と言い切っているように思えるんですね。

「ポッピンアパシー」に“揺るぎない揺らぎ”があるとすれば、「MAD HEAD LOVE」には“無条件に信じる強さ”を感じるのです。

「MAD HEAD LOVE」と「ポッピンアパシー」が両A面で作られたのは、本当に感情の発露として必然な流れを受けます。

自分が信じるものを絶対に疑わない純粋さと、自分を含めたこの世のもの全てに曖昧さを抱く感情は、誰の中にも表裏一体であると思います。

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