14枚目のシングル曲
『あした地球がこなごなになっても』は、でんぱ組.incの14枚目のシングルです。
速いBPMでパワフルな楽曲を歌うアイドルのイメージのでんぱ組.incですが、【あした地球がこなごなになっても】は違います。
バラードではないけれど、ミドルテンポで聴きやすい。
テンションを上げるよりも、ゆっくりと聴きいってもらうことを想定した楽曲となっています。
人気漫画家【浅野いにお】による作詞
人気漫画家【浅野いにお】をご存知でしょうか。
代表的な作品に『ソラニン』や『おやすみプンプン』『デッドデーモンズデデデデデストラクション』があります。
タイトルなげえ。
特に『ソラニン』は、宮崎あおいさんが主演で実写映画化もされているので、作品自体はご存知の方も多いのではないでしょうか。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONが歌っていますが、こちらも作詞は浅野いにおさんが手がけています。
メンバーの内面が現れた歌詞
『あした地球がこなごなになっても』の歌詞は、作詞の際にメンバーへの取材を経て完成しています。
つまり、非常に内面的な歌詞といえます。
『あした地球がこなごなになっても』の歌詞は、ファンにとっても、これからでんぱ組.incを聴き始める人にとっても最適。
メンバーの内面を知れるのだから、非常に嬉しい内容になっていると言えます。
一足お先に歌詞を読んだ感想を
歌詞を読んだ感想としては、泣ける。これに尽きます。
泣けるというのは、例えば24時間テレビを観て感動して泣く、というのとはちょと違います。
じんわり泣ける。涙が出るのとは少し違う。決して号泣はしない。
「泣いた」という感覚がある、程度に留められた絶妙な歌詞。
これは泣ける程の感動は無いな、という意味ではありません。
感動の質が違うのです。切ないというよりは刹那い。
テレビやライブで見る彼女たちは、あくまで一瞬を切り取った刹那的な姿であるといえます。
それでは歌詞の解釈から、『あした地球がこなごなになっても』に迫っていきましょう。
それとなく疲れてる
昼間の流れ星 電車で追いかけて
見慣れた改札で つかまえたの
風変わりな部屋に住み それとなく疲れてて
とはいえお仕事は とても順調なの
出典: あした地球がこなごなになっても/作詞:浅野いにお 作曲:釣俊輔
当たり前といえば当たり前の話ですが、昼間に流れ星は流れません。
どうでもいいけど「流れ星は流れない」って文章として正しいのだろうか。
「頭痛が痛い」とか「馬から落ちて落馬する」みたいなニュアンスを感じる。
日常の中で流れ星について言及する機会がほぼないからわからないですね。リアリストですから僕は。
「星が流れる」とか、そんな感じでいきましょう。
当たり前といえば当たり前の話ですが、昼間に星は流れません。良い感じだ。
じゃあ「昼間の流れ星」ってなに?
流れ星ってなんか希望的なニュアンスの単語ですよね。
星が流れている間に願い事を三回言えると願いが叶う、なんて言い伝えもあるくらいですから。
でもあの一瞬のきらめきの中で三回願い事言うの無理じゃないですか?
言えるとしてもせいぜい「金金金」くらいのものですね。俗物的って言わないで。リアリストなんです僕は。
だから、ここでの「流れ星」は日常の中の普遍的かつ一瞬のきらめきです。
卵を割ったら双子だったとか。
なくしたと思ってたピアスが出てきたとか。
好きな人からLINEが来たとか。
例えばそういった、電車で追いかけて見慣れた改札でつかまえられる程度の些細な、でも大きな幸せ。
それらを「流れ星」と比喩し、昼間にも流れることでどうでしょうか。
見ようとしなければ見えないけれど、常にそこにあるものとして表現しているんですね。
アイドルだって人間
そもそもアイドルというのは、偶像を意味する言葉。超ひらたく言えば憧れの的です。
でも、アイドルだって人間です。
人間なんだからいつもキラキラ輝ける訳ではないんです。
もしかしたら偏食かもしれないし、人とは違う趣味があったり、それこそ風変わりな部屋に住んでいたりもする。
普通に生活している僕らと同じように、アイドルって結構普通に人間なんですよね。
でんぱ組.incというアイドルはそのあたり結構露骨というか、非常に人間らしいんですよね。
メンバー全員が何かしらのオタク、というのもそうです。
現在は脱退してしまっていますが、メンバーの一人、最上もがさんはネトゲ廃人を自称しています。
ネットゲームはオンライン対戦なんかが出来るものも多い。
つまり、画面の向こう側に普通に最上もがさんがいるんです。そういう可能性がある訳ですね。
オタク的な活動は限りなく私生活と言えます。
そういった部分を全面に押し出している彼女たちだからこそ、「それとなく疲れてて」が真実味を帯びてきます。