Bメロはどろろの立ち位置が語られます。
表向きどろろは狂言回しのような存在。
百鬼丸は声を取り戻しても話すことに慣れていないため無口です。
ひたすら饒舌などろろの明るさが、この暗いテーマの作品の救い。
第九話「無残帳の巻」でどろろの回想として壮絶な過去が…
悲惨な両親の死を経た上での明るさはどろろのキャラクターを深いものにしています。
そして第九話の最後で、どろろが女の子であることがさりげなく明かされました。
原作では物語の終わり近くで明らかになる事実ですが、このリメイクでは今後の物語に関わってくるのでしょう。
amazarashiは特に歌詞を重視しています。
それは言葉によって人の心を突き動かすことができると信じているからでしょう。
自らの発するメッセージで人の道を照らす明かりになるという気持ちが込められているようです。
サビ
さよならごっこは慣れたもんさ でも手を振ったら泣いちゃった
僕らの真っ赤な悲しみが 暮れる 暮れる そして夜が来る
当たり前にやってくる明日なら 「生きたい」なんて言わなかった
よせばいいのに夢見てしまう 未来 未来 君のせいなんだ
出典: さよならごっこ/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
Cメロのサビは饒舌です。
旅の先々での出会いと別れはハッピーエンドばかりではありません。
第五話と第六話「守小唄の巻」のように死別もある。
二話に渡るこのエピソードは百鬼丸が人間的な感情を露わにした作品前半のクライマックスです。
百鬼丸が初めて知った悲しみをどろろも共有しました。
原作では百鬼丸がどろろと出会う前の出来事でしたが、リメイク版では物語の柱にしています。
秋田ひろむはどんな別れを経験してきたのか考えさせられる部分です。
悲しみはブルーや水色に例えそうなものですが「真っ赤」と表現しています。
熱を帯びた感情が日暮れから夜が訪れて冷めていく。
喜びであれ悲しみであれ人の感情は簡単には鎮まりません。
サビの後半に語られるのは明日に続く未来に夢を抱こうということ。
一見すると暗いイメージに取られがちな歌詞ですが強い未来志向が読み取れます。
ただし、それは安っぽい明るさではありません。
リフレインされる「暮れる」と「未来」の対比に注目してください。
別れに続く「今日と同じではない明日に夢を」が、この歌詞のメッセージだと思います。
なくてはならない存在へ
百鬼丸を理解できるのはどろろだけ
成し遂げねばならないこと 三日月にぶら下げて
彷徨う夜道にすら 安堵は君の背に明るい
信じるには時間がいる ましてや他人だから
それでも道が同じなら 離れる理由もない
全てが終わったら 分かち合う為に
誰かがいるでしょう 僕がいるでしょう
出典: さよならごっこ/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
2番のAメロとBメロ。
百鬼丸は鬼神を倒して体を取り戻すだけが目的で、それを成し遂げても安らぎはあるのか。
行くあてのないどろろにとって百鬼丸は異形ではあるものの一緒にいることで身を守れる存在になっています。
意思の疎通は難しいけど当面は付いていくしかありません。
そして百鬼丸を理解できるのは自分だという自負を抱くようになります。
人生は旅に例えられるでしょう。
そこには必ず家族や友人など自分と関りを持つ人がいます。
人に対して「僕がいる」と言えるのはすごい。
強さと優しさを併せ持ったこの立ち位置を目指したいものです。
さよならごっこは慣れたもんさ でも手を振ったら泣いちゃった
僕らの真っ赤な悲しみが 暮れる 暮れる そして夜が来る
はじめからそこにある愛情なら 確かめ合う事はなかった
奇遇にも連れ合う縁だから 触れる 触れる 心の襟元
出典: さよならごっこ/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
歌詞の中に夜がしばしば出てきます。
鬼神との戦いは日中もありますが、夜は戦いだけでなく重要なシーンとして描かれているのです。
二人の出会いは偶然で、百鬼丸が鬼神を倒した結果どろろを救うことになりました。
奇遇が結びついた二人の触れ合いが毎回重要なモチーフになっています。
「袖振り合うも多少の縁」という諺を思い出しました。
全ての出会いは偶然ではなく因縁があるので、大切にしなさいという意味です。
amazarashiが歌詞を通して曲を聴くファンとの関係をどう捉えているか分かります。
別れ
辛さなら背負えるから 痛みなら分け合えるから
でも君のさだめまでは 肩代わりできなかった
別れは何度目でも 相変わらず悲しいから
別れる振りをするんだよ さよならの遊びだよ
いつか必ず会えるって 自分を騙す遊びだよ
出典: さよならごっこ/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
淡々と歌われるDメロはどろろの百鬼丸に対する親愛の情が読み取れるようです。
旅には終わりがあり、そして二人には別れが待っているのか。
原作では別れて以降も物語が続きます。
リメイク版では原作にあったエピソードの順番を変えています。
さらに今後の伏線と思われる設定がちりばめられており結末が見えない。
二人の別れを暗示しながら普遍的な「別れ」を語っていると思われます。
自分と縁があって出会った相手にしてあげられたことと出来なかったこと。
とてもナイーブな感情が読み取れます。
さよならごっこは慣れたもんさ でも手を振ったら泣いちゃった
僕らの真っ赤な嘘だけが 濡れる 濡れる そして朝が来る
離れ離れになるってことは 一度は一つになれたかなあ
諦めと呼べば後ろめたい さだめ さだめ そう君は呼んだ
出典: さよならごっこ/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
最後に3度目のCメロをリフレイン。
Cメロはいずれも歌詞の後半が違う。
ここでもこの先に訪れるであろう二人の別れが強く暗示されていますね。