「千両役者」は爽快なロック King Gnuの幅広い音楽性を感じる
「千両役者」は2020年12月2日にKing Gnuの通算6作目のシングルとしてリリースされました。
「三文小説」との両A面シングルで、対比して聴くと彼らの幅広い音楽性に触れることができます。
king Gnuといえば「TeenagerForever」や「Sorrows」など疾走感あふれる曲調が印象的です。
「千両役者」も早いテンポで駆け抜ける爽快なロックチューン。
聞き取れないほどの早口で歌い上げるボーカルスタイルは、洗練されたテクニックを感じさせます。
カラオケじゃ早くて歌えませんね。
NTTドコモのCMソングとしても有名です。
この記事では、人生を歌舞伎に例えた意味深い歌詞を、独自の視点で考察しました。
自分を信じて生きる姿を「千両役者」に例えた内容は、ポジティブに人生を謳歌しようという壮大なメッセージです。
千両役者が演じる人生の大舞台
人生は筋書きのないドラマ
出鱈目な劇を繰り返して
筋書きは何時も無理矢理で
命を継ぎ接ぎ
迷路の先は何時も振り出し
出典: 千両役者/作詞:常田大希 作曲:常田大希
人生は筋書きのないドラマです。何が起こるかわかりません。
災害や疫病の流行などが、突然身に振りかぶってくることもあります。
一度きりの人生、道に迷うこともあるでしょう。
寄り道や回り道、時には道を踏み外して初めからやり直すこともあります。
それもまた楽しみの一つと考えると楽になりませんか。
人生の幕が下りるまで、おおらかに笑いながら生きたほうが楽しいに決まっています。
残酷な仕打ちを食らうことを恐れてはいけません。
大事なのは、周囲の圧力にもがきながらも前に進むことです。
この曲は、全体に漂う歌舞伎の享楽的なイメージを人生に例えています。
一世一代の大舞台を、後先考えずパワフルに生きることの大切さを伝えているのです。
心許ない吊り橋を胸を張って歩く
吊り橋を渡れ剥き出しで
のらりくらり千鳥足で
命の駆け引き
くたばりゃ最後
死人にゃ口無し
出典: 千両役者/作詞:常田大希 作曲:常田大希
「吊り橋」は私たちの人生の道を、「死」は人間の命の終わりではなく社会的な死も意味しています。
この物語の主人公「千両役者」は、世間から脚光を浴びる大スターではありません。
私たち一人一人のこと、世間の荒波にもまれながら生きているすべての人を指しています。
現在の社会は、誘惑や罠に満ちています。平らで安全な道のりだけではありません。
一歩道を踏み外すと社会から見放される危険な吊り橋です。
社会的な死に直面するかもしれません。
危険が待ち受けていても、吊り橋の前で立ち止まることなく堂々と歩いて行きましょう。
しょせん人生は綱渡りのように不安定な道のり。
無防備で歩くことを躊躇(ちゅうちょ)してはいけません。
予期せぬ出来事は、事前に防ぐことができないので考えるだけ無駄です。
歌詞からは、死をも恐れず好き勝手に自分の人生を謳歌する姿が見えてきます。
壁に当たっても負けない強さ
立ちふさがるのは無意味な戦い
食った食われたの茶番劇
一夜限り仮初めの繁栄
命の安売り
緞帳閉じ当代を御仕舞い
出典: 千両役者/作詞:常田大希 作曲:常田大希
自分の周囲を競い合うライバルたちに囲まれることもあるでしょう。
戦いの日々に悩み、道に迷うかもしれません。
歌詞では、無意味な人生の戦いを茶番劇と断言して、一刀両断に切り捨てています。
意味のない戦いで命を落とすのはもったいない。そんなつまらない人生は御免です。
命を懸けるなら、安っぽい一時的な栄光にとどまらず、最高の栄誉を手に入れたいものです。
かりそめの繁栄で満足してはいけません。私たちの目指すものは、もっと先にあります。
あれこれ考えずに堂々と前を向いて、楽しみながら生きていきましょう。
本当の強さは、戦いに勝つことだけではありません。
困難が待ち構えていても、飄々と生きて人生を楽しめる人こそ強い人なのです。
くじけるな次がある
泥仕合の果てに喜劇あり
カタストロフィ超えてけ業
今宵の千両役者
狂気の如し歌舞いて頂戴
出典: 千両役者/作詞:常田大希 作曲:常田大希