「どろん」するの?しないの?King Gnu

3rd AL「CEREMONY」収録

King Gnu【どろん】歌詞の意味を徹底解説!主人公は何に噛み付いているの?後にひけない理由とはの画像

King Gnu(キングヌー)最高!

そう叫ばずにはいられません。

どろん」とは雲隠れすること。

2020年1月にリリースされた3枚目のアルバムCEREMONY」(セレモニー)の収録曲です。

2枚目のアルバム「Sympa」でシンパ(共鳴者)を募り、「白日」の大ヒットで祝賀会が催されたという流れ。

そんなアルバム最初の「歌もの楽曲」でいきなり行方をくらますとはどういう意味なのでしょうか。

しかも何かに噛みつき、後には引けないという趣旨の歌詞になっています。

「どろん」するのか、しないのか。

それすらも曖昧です。

この曲の作詞作曲は鬼才音楽家、生きるカリスマ常田大希さん

どのような意図やメッセージが込められているのか、歌詞に寄り添うことで理解を深めます。

その前に曲の概要も把握しましょう。

映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」

■どろん
映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』主題歌

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/CEREMONY

2018年11月に公開された映画「スマホを落としただけなのに」の続編「囚われの殺人鬼」は2020年2月に公開。

「どろん」はその続編の主題歌です。

原作は『このミステリーがすごい!』大賞の隠し玉賞を受賞した、志駕晃さんによる長編推理小説の続編。

そのため映画や小説の内容を意識した曲作りになっているはずです。

ただ、ミステリーはネタバレ厳禁。

両者の関連性には触れず、この曲単体で考察します。

曲の構成

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  • 1番:1A→1B→1C
  • 2番:1A→2B→2C
  • 3番:3A→3D→3E
  • 4番:1A→3A

イントロ、アウトロ、間奏が皆無。

最初から最後まで、立て続けに歌・歌・歌のオンパレードです。

しかもラップ担当は常田大希さん、歌もの担当は井口理さんというこの曲以前の常識が入れ替わったイメージ。

  • 1番→2番→3番
  • Aメロ→Bメロ→Cメロ(サビ)

こうした一般的なJ-POPらしい構成になっているのかどうかもわかりにくいかもしれません。

音数を含め情報量が多く、音色もヘヴィなので、最初はうわ~っと畳みかけるラウドロックに聴こえるでしょう。

ただ、聴き込むと、実はJ-POPらしい構成に則り、シンプルなメロディの繰り返しが多いことに気がつきます。

  • サックス:MELRAW(メルロー/安藤康平)
  • トランペット:真砂陽地(まさご ようち/元オーサカ=モノレール)
  • トロンボーン:川原聖仁(かわはら まさひと)

おまけにホーンセクションが加わったビッグバンド編成です。

むしろ「パ~パ~パ~パララ~」といったホーンの音色のほうがキャッチーなメロディラインを奏でています。

ジャズやファンク要素もてんこ盛り。

King Gnuの豊かな音楽性が詰め込まれまくっていて、聴きどころが非常に多いものの、実はかなりポップです。

ラウドロック好きだからストレートにハマったという方もいるでしょう。

あるいは、うるさい曲は疲れると思ったのにグルーヴィーな中毒性にやられて「King Gnu最高!」と叫んでいた。

そんなリピーターもいるでしょう。

テレビ初披露はMステ

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2020年2月14日、バレンタインデーの「ミュージックステーション」でテレビ初披露された「どろん」。

常田さんは、ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウを彷彿とさせるアイメイクをしていました。

イケ散らかしていると話題になったことは言うまでもありません。

この妖艶さは最強布陣ヘアメイクTAKAIさん&スタイリストShohei Kashimaさんのおかげ。

一方、井口理さんは、ラジオにゲスト出演した綾野剛さんによって「さとるん」の呼び名が定着しました。

ただ、パブリックイメージの「井口」(呼び捨て失礼!)と、歌唱時の「井口さん」が混在するという説もアリ。

「どろん」のテレビ初披露時はすっかり真剣な「井口さん」でしたね。

「白日」で透き通る美声に聴き惚れた方は、黒に染まった「どろん」に驚かれたかもしれません。

華麗にステップを踏む大所帯のホーン隊やアルバム「CEREMONY」とは異なるアレンジも衝撃でした。

PERIMETRON渾身のMV

「どろん」のMVは、テレビ初披露の2時間前にプレミア公開されました。

そんな歴史的な瞬間に立ち合ったヌー民(ファン)もたくさんいるはず。

こちらもまた「白日」から一転。

常田さん率いるクリエイティブ集団PERIMETRON(ペリメトロン)がやりたい放題やり散らかしています。

大概のアーティストはMV制作を映像作家の方に外注するものです。

ところがKing Gnuは自前の通称ペリメトで作ることで、音楽と映像の総合アートと捉えています。

「どろん」のMVを観れば、クオリティの高さは一目瞭然でしょう。

スタンリー・キューブリック監督の映画「時計じかけのオレンジ」へのオマージュが感じられるディストピア

映画の主人公アレックスは片目だけつけまつげをつけたり、攻撃性を抑えるため眼球に治療を施されたりします。

ここで思い出されるのは、「Mステ」で強烈な印象を残した常田さんのアイメイクです。

ジョニデというより、マルコム・マクダウェルが演じたアレックスのイメージだったのかもしれません。

こうした点を踏まえると、MVで常田さんが捕らわれ、目が飛び交う映像になっている理由も想像できるでしょう。

これまで抑えられてきた攻撃的ともいえる音楽的な衝動がKing Gnuにもあるのではないでしょうか。

とにかく情報量が多い「どろん」ですが、ここからはサウンドにも触れつつ、歌詞に焦点を絞って解説します。

1番Aメロの歌詞