忘れらんねえよ、柴田隆浩のひとり舞台
加藤マニ監督による傑作MV
2018年5月にベーシスト・梅津拓也が脱退。
ついに柴田隆浩とサポート・メンバーだけで活動を再開した忘れらんねえよ。
彼らが2018年12月26日に発表したミニ・アルバムでは忘れらんねえよのパワーはまだまだ健在です。
「あいつロングシュート決めてあの娘が歓声をあげてそのとき俺は家にいた」
ミニ・アルバムのタイトルも忘れらんねえよの魅力全開で秀逸。
バンドのいまの状況を表わすように柴田隆浩がひとりで全配役を演じきっています。
MVの監督は人気作家の加藤マニ。
感動作・MV「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」を一緒に観ていきましょう。
そういうことってあるよね
忘れらんねえよの魅力は「そういうことってあるよね」と胸のうずきを抑えられずに柴田隆浩と一緒に痛むこと。
MV「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」もそんな忘れらんねえよの魅力が溢れています。
君が俺とだけグラスを合わせない
MVは歩道で小走りする柴田隆浩の姿から始まります。
彼は飲み会に向かっているようです。
皆より少し遅れて店に入ると彼に向かって手を振る同席の皆さん。
柴田隆浩ははにかみながら着席し、隣の女性からビールを受け取ります。
ここで問題の乾杯シーンです。
あれ、憧れの君は俺(柴田隆浩)とだけグラスを合わせてくれません。
グラスが合わせられなかったその決定的瞬間はセピア色の記憶となって再現されます。
暗い想い出を呼び起こす歌詞
俺は気付いたんだ
みんなで乾杯したときに
君は俺とだけグラスを合わせなかった
考えすぎと言われるかもしれないけど
最悪のケースの場合も可能性としてはあるわけで
出典: 君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった/作詞:柴田隆浩 作曲:柴田隆浩
柴田隆浩はボーカルでせわしなく訴え始めます。
「あれ、俺だけ君と乾杯できていない...」
そんなことに気づいた彼。
聴く者の誰しもが自分の記憶から暗い想い出が瞬時に呼び起こされたはず。
「え、もしかして俺、あのコに嫌われている?」
そんな黒い予感。
こんなシチュエーションは男女が入れ替わっても成立するはずです。
「いやいや、考えすぎだ...まだまだ、宴は始まったばかりだしね」
そうやって自分をごまかして安心しようと意気込むのです。
MVでは天使に扮した柴田隆浩と悪魔に扮した柴田隆浩が俺(柴田隆浩)に両側から囁きかけます。
「安心しなよ」と天使が囁き、「いやいや、これはおかしい」と悪魔が囁いているのでしょう。
君のことが気になって仕方がない
気にしていないふりをするけれど
そう考えたら俺は急に君に気があること
絶対知られてはならんっていうか
知られてたまるかボケって思って
あえて隣の好きでも嫌いでもない女と
ほんとどうでもいい話をして無理して笑って
無理して君に聞こえるように大きな声で笑って
出典: 君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった/作詞:柴田隆浩 作曲:柴田隆浩
俺は君のことが気になって仕方がないのです。
それでも男のプライドから気があることを君に悟られたくない。
俺は君のことなんてなにも気にしてないのだよ(嘘です)。
この時点で聴いていて黒歴史が呼び起こされてドキリとするリスナーが多くいるはず。
柴田隆浩はどうやってリスナーの記憶を覗いたのでしょうか?
忘れらんねえよの歌詞はほぼ全部、リスナーにこうしたつらい想いをさせます。
リスナーはそのつらさがやがて快感に変わるのです。
隣の女(柴田隆浩)
ちょっと落ち込んだ俺(柴田隆浩)は気を取り直して隣の女(柴田隆浩)と何気ない会話をしようと努めます。
黒髪ロングストレート。
本来ならこちらも美人さんである可能性があるのですが、中の人が柴田隆浩ですからそれなりです。
「いるいる、こういう女性!」といったタイプの外観でもあり、彼の女装も割といけるのかなとも思います。