androp「Ghost」
収録情報
楽曲が表しているものとは?
「Ghost」は“幽霊”という意味です。
楽曲ではダイレクトに幽霊を表現しているわけではなく、“目に見えない存在への葛藤”を表しています。
人の心の中は誰にも覗けません。
表に出す言葉とは裏腹に、心の中では嫉妬であふれていることもあります。
さらにその嫉妬の裏には、自分にないものを持っている人を羨ましいと思う心が隠れているのです。
表に見えている綺麗な部分だけでなく、裏に隠れた感情もandropの歌詞からよく伝わってきます。
女性目線の歌詞と温かいストリングスと優しいピアノの旋律はとても儚く切ない雰囲気です。
サビに向かう途中からメロディーが力強くなり、一気に楽曲の世界に引き込まれていきます。
まるで優しさが強さに変わる瞬間を表しているように感じる部分です。
ドラマ「ゴーストライター」主題歌
andropの楽曲「Ghost」はドラマ「ゴーストライターの主題歌に起用されました。
「Ghost」はこのドラマの書き下ろし楽曲なので、歌詞の内容がドラマとリンクする部分があります。
歌詞が女性目線なのは、まさにドラマに出てくる二人の女性を思い浮かべたからなのでしょう。
女の嫉妬が渦巻く世界
ドラマ「ゴーストライター」を見たことがない方もいらっしゃると思うので簡単に説明させていただきます。
主人公は二人の女性です。
まず、売れっ子小説家の遠野リサを演じているのが中谷美紀さん。
そして小説家を目指しているけれどなかなか芽が出ない川原由樹を演じるのが水川あさみさんです。
真逆の立場の二人ですが、お互い自分にないものを持っている相手に嫉妬していきます。
リサは名のある小説家なのですが、良い作品が書けずに行き詰まっていました。
そして、なかなか売れない由樹はリサのアシスタントとして働くことになります。
ドラマのタイトルからも分かるように、のちに由樹はリサのゴーストライターになるのです。
若くて、文章の才能や発想力もある由樹を妬み羨ましく思うリサ。
由樹は、ゴーストライターとして間接的に能力は認められていきますが、それは自分への賞賛ではありません。
始めは二人の足りない部分を補うかのように協力していても、嫉妬や欲望が心を支配していきます。
それこそが自分自身ですら気づくことができなかった心の中の感情なのです。
andropの楽曲はドラマのエンディングで流れます。
スーッと物語に溶け込んでくるイントロから始まり、サビはとても情熱的に響く「Ghost」。
ドラマ「ゴーストライター」を盛り上げるには必要不可欠な一曲です。
物語の世界観にはまるandropの楽曲
andropは他にもドラマ主題歌を多く手掛けています。
「Ghost」もそうですが、ほとんどがドラマのための書き下ろし作品なのです。
andropらしさを表に強く出すわけではなく、ドラマの世界にいかに溶け込むかを大切にしているように感じました。
2014年に放送されたドラマ「家族狩り」の主題歌「Shout」は先が見えずに葛藤する様子が歌詞から伝わります。
「家族狩り」は、家族の問題やそれにまつわる事件に焦点を当てたサスペンスドラマです。
未来の見えない不安な状態を、ドラマとリンクした言葉でうまく表現しています。
そして2018年に放送されたドラマ「グッド・ドクター」の主題歌「Hikari」。
先ほどの「Shout」のような暗闇とは対照的に光り輝く未来のイメージが想像できる楽曲です。
「グッド・ドクター」は、小児科を舞台にしたドラマで、自閉症の小児科医と患者の子供たちの様子が描かれています。
「Hikari」というタイトルにも込められている、未来への希望を感じる楽曲はドラマにぴったりの一曲です。
「Ghost」も「Shout」も「Hikari」も曲を聴いただけでドラマの情景が浮かんできます。
これだけドラマの世界観に溶け込む作品を作るには、原作や脚本の真髄を理解していなければできません。
優しいメロディーと心に刺さる歌詞で、ドラマの世界を表現する才能は本当に素晴らしいと思いました。
「Ghost」の歌詞
さて、いよいよ歌詞の内容についてお伝えしていきます。
ドラマ「ゴーストライター」とリンクする部分も合わせて見ていきましょう。
誰にも見せない涙
ふっと流れた涙に滲むアイライン
そっと流れた涙は戻らない
すっと手で涙の行方を止め
笑ったふりで消したんだ
出典: Ghost/作詞:Takahito Uchisawa 作曲:Takahito Uchisawa