僕は固有の胸の痛みというものに悩まされているとうたいます。

都会から無責任に逃げ出したことがつらい訳ではありません。

僕が気に病んでいるものは君に約束した場所が「ない」ことです。

君を連れ出して僕は逃げるときに新天地について誓ったでしょう。

しかし「インディゴ地平線」というものはいつまでもたどり着ける約束など「ない」のです。

そんな無責任な逃避行に君を付き合わせているという思いが僕の胸を刺します。

一方で僕はそれでも君に見せたい、あるいは魅せたい藍色があるのだと確信しているのです。

逃避行によって闘争する僕は固有の高揚感に浸っています。

都会を逃れられたことで僕には万能感のようなものが沸き立つのです。

僕は根っからの逃亡兵的な性格があります。

この闘争の中で僕は君への気持ちをいっぱいにさせるのです。

もちろんふたりの行方は不明なままで終わります。

ふたりは道すがら姿を消してしまったままに歌はクライマックスを迎えるのです。

逃避行というものは固有の快楽があるのでしょう。

僕は少し心の暗い側面を白状しますが幸福だとも歌います。

草野正宗は未知なる藍色の世界をふたりに用意しました。

そしてたどり着けない、手が届かないままで歌を終わらせます。

ふたりの逃避行はこの先もずっと生涯を貫いてゆくものかもしれません。

しかしふたりが生き抜いてゆくには逃走の道しかないことを草野正宗は描きました。

この登場人物の描き方は私たちに何を伝えるのでしょうか。

逃げ出すことで闘争に変えてゆく生き方というものを教えてくれたのです。

この教えだってスピッツのロック精神というものが徹底した結果でしょう。

「インディゴ地平線」は希望の欠片たちにとっての理想郷です。

たどり着けないことで完成するような逃避行の目的地がそこにあります。

どんなに美しい藍色なのでしょうか、私たちの期待は高まったままです。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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