BiSHから選抜された2人が「夜王子と月の姫/きえないで」をリリース
2018年9月19日、BiSHから選抜された、アイナ・ジ・エンドとセントチヒロ・チッチの両A面シングルがリリースされましたね!
2017年12月に行われたWACK総選挙で1位を飾ったチッチが歌うのは「夜王子と月の姫」。
世代の筆者にとっては「懐かしい!」と思ってしまったこの曲はGOING STEADY、銀杏BOYSのカバーとなっています。
当時の青春パンクブームの核を担っていた彼らの楽曲を選ぶ辺り、さすがは「楽器を持たないパンクバンド」からの1人。
そして今回注目するのはもう1人、総選挙で2位に選ばれたアイナの方です。
ソロデビューは自分の曲で!
今回のリリースにあたってアイナはなんと、それまで経験のない作詞作曲に挑戦。
「きえないで」を完成させます。
BiSH加入以前から音楽を志していた彼女のソングライターとしての資質を感じさせますね。
自身初の作品となるこの曲をアイナは「最も大事な曲」と発言。
ソロアーティストとしての新たな一歩となった1曲です。
特別な思い入れもあって然るべきですね。
プロデューサー、バックバンドはそうそうたる面々
「きえないで」のスペシャルな点は、アイナの初の作詞作曲ということだけではありません。
アレンジ、プロデュースを椎名林檎や東京事変で知られる亀田誠治が担当。
さらにバックバンドのメンバーもギターには西川進、ピアノは皆川真人とそうそうたる面々です。
きっかけは5月に埼玉で行われた音楽フェス「VIVA LA ROCK 2018」。
亀田がバンマスを務めたVIVA LA J-ROCK ANTHEMSで椎名林檎の「本能」をカバーし、アイナがヴォーカルを務めたことからです。
たった1曲でも、アイナの歌にはJ-POP界の重鎮たちを唸らせる力があったということですね!
楽曲を考察
物憂げな楽曲序盤
楽曲の序盤はピアノと歌がメインのしっとりとしたアレンジ。
ピアノの音に溶けるかのように鳴らされるシンセが、心地良い浮遊感を醸し出します。
アイナは喋り声と歌の中間のような、物憂げな歌声を披露。
その独特の枯れた声質も悲しい響きを引き立てていますね。
これにも実は逸話があるんですよ。
ハスキーボイスが特徴。吉田豪は、「BiSHという楽器を持たないパンクバンドにとって、最強の楽器は彼女の声」との旨ツイートしている。声帯結節の手術の際、ハスキーさを残すために完全には切除せず一部残してある。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/アイナ・ジ・エンド
その歌声は、突っ込んだ取材スタイルで芸能界では恐れられるインタビュアー、吉田豪のお墨付き。
声帯結節って、治るとやっぱり声が全然変わってくるんです。(めちゃめちゃクリアーになります。)
声の特徴を保つために身体を張るという部分にもプロ意識の強さが表れていますね。
サビでは激情を演出
中盤から入ってくる亀田のベースは実にメロディアス。
歌うようにアイナの声と絡み、サビへ続く高揚感を感じさせます。
サビで聴かせる叫びにも似た歌声はまさに「激情」を表したイメージ。
感情直結と称される西川進のギターが押し寄せる想いに華を添えます。
尚、サビが登場するのはこの1回のみです。
山場が一度しか来ないというこの展開が返って余韻を生み、儚い印象を引き立てていますね。
とてもアーティスティックなこの1曲。
アイナのソングライターとしての今後を期待させますね!