気軽な言葉にこもった本音
気軽に「死にたい」
楽曲「死にたい夜にかぎって」は、同名ドラマの主題歌でもあります。
ストーリーとも密接にかかわる歌詞は、主人公の内面を浮き彫りにしているかのようです。
近年、「死にたい」という言葉は非常に気軽に使うものとなりました。
一方、切実な思いを込めて同じ言葉を呟く人がいるのもまた、事実です。
4文字に込められた主人公の本音、そして「君」への思いが読み取れます。
幻想的なMV
MVのディレクションを担当したのは、渡邉直氏。
BiSHの他、水曜日のカンパネラなどのMVも手掛けています。
ドラマとの繋がりも感じられる、独特の世界観を演出しています。
歌詞と併せて味わうことで、新しい魅力が発見できるかもしれません。
「普通」じゃない人生
現状を打破したい思い
ちゅうぶらりの日常に また 立ち止まる
見たことない景色を君と見たい
出典: 死にたい夜にかぎって/作詞:アイナ・ジ・エンド 作曲: アイナ・ジ・エンド
歌、そしてドラマの主人公「小野浩史」は、心に傷を負ったキャラクターです。
特に幼い頃に受けたトラウマは、成人してからもその影響を色濃く残します。
気がかりな心の傷が、人の歩みを阻害してしまうのです。
前に進めないような感覚。
生きている毎日に現実味がない感じがするなど、感じ方は様々でしょう。
まさに宙に浮いたような毎日を送ることになるのです。
自分の毎日に現実味が欠けていることには、簡単に気づけるかもしれません。
本当に必要で大変なのは、その感覚を解決することです。
その人に必要な心のケアは、千差万別。
そして解決に向かう道のりは、時として険しいものになる可能性もあります。
逆に、もっと短絡的な解消法も一案です。
それこそ、別の場所へ行くこと。
目に入る景色を変えることは、手軽な変化の一種です。
身も心も生まれ変わったような思いを簡単に味わうことができます。
逃げるように今いる場所を離れ、まったく新しい場所へ行く。
問題そのものは解決していませんが、何かが好転したような気分を味わうことができます。
温もりを求めて
鮮やか華々 ひらひら肌柔らかい
きっとだらしが無いほうがいいな ほうがいいな
出典: 死にたい夜にかぎって/作詞:アイナ・ジ・エンド 作曲: アイナ・ジ・エンド
浩史の周りには、特異な生き方をする女性たちが登場します。
女性に対する根源的トラウマを持つ浩史にとって、彼女たちとの出会いは重要です。
女性の姿は、古来より花にたとえられてきました。
ここで言及されている花も、女性たちを暗示したものである可能性があります。
浩史は過去に触れられなかった、女性的な温もりに憧れを抱いているのかもしれません。
「類は友を呼ぶ」ということわざがあるように、同じもの同士は引きあいます。
独特な生き方をしている人の周りには、同じように特殊な人々が集まってくるのです。
浩史の周りに現れる女性たちも、個性際立つ面々でした。
大多数の社会規範にのっとって見れば、彼女たちの生き様はある意味「異質」です。
ところがその特異さの中に、抗いがたい魅力もあったのでしょう。
世間の枠組みから外れたような自由さは、浩史にとって「良いもの」に見えたかもしれません。
会いたい人は誰?
夢の中だけでの願い
夢で逢えたら
矢継ぎ早に息を吐くのだろう だけど
夢で逢えたら
溺れるように探しにいこう
出典: 死にたい夜にかぎって/作詞:アイナ・ジ・エンド 作曲: アイナ・ジ・エンド