そして、別れの場面をサビに持ってきています。

この別れを「僕の前から君の心が消えた」という言葉で表現しています。

愛し合うことは心と心が寄り添うことで、離れてしまった心を上手に言い表しています。

その心は今は離れてしまいましたが、寄り添っていた時間は確実にあります。

とはいえ、この時間は長い人生で見ればほんの一瞬の出来事でしかなく、人生においてその時間を長い時間にしたかったという願いが繰り返している「もっと」にこもっています。

aikoのシングル「もっと」作詞作曲AIKOの歌詞情報ページ♪の画像

いつの間に伸びた癖のある後ろ髪
緩やかに跳ねてどこに飛んで行った?
振り返るのは僕 前を向くのは君
重なった道で何度も確かめたのに

出典: もっと/作詞:AIKO 作曲:AIKO

2番は僕と君が再会を果たした場面が描写されています。

その再会はとある道でのすれ違い、僕は気付いて振り返りますが、君は最初は気付かずまっすぐ前を向いたままです。

それほどに君は僕と過ごしていた時間に囚われることなく進んでいるのです。

そんな離れてしまった君の気持ちと同じように、容姿も以前とずっと同じでいるわけではありません。

その変化を感じるのは特に君の方で、いつの間にか伸びた後ろ髪と緩やかな跳ねからはロングヘアーになりパーマもかけたことが想像できます。

さらにそのパーマの跳ねから、君自身の僕に対する心もどこかへ跳ねさせてしまったかのように感じる僕の悲しみも表しています。

見違える程奇麗にならないで 陽射しの強い日のまつげの影
少しかすれた声を触った 全てを包み込んだ僕の腕

出典: もっと/作詞:AIKO 作曲:AIKO

容姿の変化をさらに細かく描いています。

このまつげの影からは化粧も上手になって綺麗になったことが目に浮かんできます。

そして、ここでは別れた2人が再会を果たしたことで、新しい展開が生まれていきます。

この再会を機に改めて話をして、君の気持ちを全部受け止めることになるのです。

僕の前から消えた君の心が消えた
「あたしはねあなたをずっと見てたんだよ」
反らした視線の先で 愛の最後溶けた
もっと もっと もっと もっと ねぇもっと
一緒にいたかったんだ

出典: もっと/作詞:AIKO 作曲:AIKO

では、受け止めた君の気持ちはどんなものだったのでしょうか。

その君の気持ちを表しているのが「ずっとあなたを見てた」という部分です。

さらに「あたしはね」という言葉がまた特別な意味を持っているのではないでしょうか。

改めて告げるようなその口調には君の中にもある後悔や、離れていった君だけが悪いのではないように感じられます。

その言葉を目を見て受け取った僕は後悔や悲しみなど色んな気持ちが入り混じって、もう元には戻れないことを今一度知ります。

そして、最後の「もっと一緒にいたかった」に繋がり、この2番の「もっと」には1番とは違って願いというよりは、「もっと共に時間を過ごしていれば君の気持ちがちゃんと分かったのに」というような後悔の念が強く押し出されているように感じます。

aikoのシングル「もっと」作詞作曲AIKOの歌詞情報ページ♪の画像

誰も知らなくても 明日が曇りでも 約束はなくてもそれでいい
少しだけ冷えた 君の手のひらを 温められたら 良かったはずなのに

出典: もっと/作詞:AIKO 作曲:AIKO

さらに後悔の念は繰り返されます。

しかし、「たられば」は通用せず、過ぎてしまった時間は取り戻せないのです。

また恋愛というのは最初はそばにいられることや君の手を温めることなど些細なことで満足できるものです。

時間が経つにつれて見えなくなるものも、求めてしまうものも多くなってしまうのが恋愛の難しさではないでしょうか。

僕の前から消えた君の心が消えた
「あたしはねあなたの事が好きなんだよ」
信じてられた瞬間は ほんとに瞬間で
もっと もっと もっと もっと ねぇもっと
そばにいたかったんだ

出典: もっと/作詞:AIKO 作曲:AIKO

そして、最後は1番のサビを繰り返します。

この曲のタイトルである「もっと」が最も繰り返されるのがこのセクションでもあります。

この「もっと」という言葉は恋愛において付き合う前でも、付き合っている時でも、別れた後でも、生じる特別な気持ちではないでしょうか。

  • 「もっと」君と近づきたい
  • 「もっと」一緒にいたい
  • 「もっと」○○していればよかった

など、どんな時系列でも「もっと」という言葉が恋愛には絡んできます。

それほど恋愛においてキーになってくる言葉であるとaikoは考えてこの楽曲を作ったのではないでしょうか。

さらには冒頭の歌詞と、締めくくりの歌詞を全く同じものを並べることによって、1曲の中でループ感が生まれます。

この「もっと」という気持ちがループしていくことで、願いや後悔など、その想いの強さをより強くしていくような締めくくり、そして、楽曲の構成になっているのです。

「もっと」に掛けた映像プロモーション

aikoのシングル「もっと」作詞作曲AIKOの歌詞情報ページ♪の画像

aiko『もっともっともっと続きが見たくなる30秒映像』

まずは先にテレビSPOT動画が公開されました。

この動画は発売に先駆け、aikoらしい遊び心のある「もっともっともっと続きが見たくなる30秒映像」という名前で公開されました。

aiko-『もっと』music video short version

さらにその翌日にはミュージックビデオのショートバージョンが公開され、計2種類の動画が公開されました。