いきなり、かなり暗い歌詞で始まる「彷徨う日々とファンファーレ」。
想った人との関係がうまくいかず、「しょうがないよな」「やがて忘れる」と自分に言い聞かせるような歌詞です。
「一生の誓い」つまり結婚と、一夏の恋を思わせる「一瞬のつがい」との対比が印象的です。
「君もそうだと思ってたよ」という言葉からは、自分が思っていた以上に「君」のことを好きになった自分への戸惑いが窺えます。

交差点、すれ違う人波
偶然を待ってることに気がついて
たまらなくなって

出典: 彷徨う日々とファンファーレ/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

「やがて忘れる簡単に」と思っていたはずが、ふとした瞬間に「君」の姿を探していることに気付く歌い手
あちこちを「彷徨う日々」が描かれています。

会いたいだけ
嗚呼、痛いだけ
日々が過ぎてゆく
暗い夜と確かなハイライト
やけに響くファンファーレ
会いたいだけ
嗚呼、痛いだけ
君に話したい
笑いごと、辛いこと、伝えたいこと
感情の隅から隅まで

出典: 彷徨う日々とファンファーレ/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

「会いたいだけ」「嗚呼、痛いだけ」とで音を掛けた、切ないサビです。
「君に話したい」といくら強く願っても、それはもう後の祭り。
それでも願わずにはいられない心をハイライトが照らし、さらにはファンファーレが鳴り響きます。
会いたい人に会えない想いをかき消そうとするかのように響くファンファーレが、切なさを助長しているのですね。

いつかは忘れる、けれど…

【彷徨う日々とファンファーレ/KANA-BOON】MVは最後まで必見!ミニアルバム『アスター』収録曲の画像

きっといつかメロディーに変わって
涙ぐんだ日々を笑って
これでよかったんだと
自分を騙してしまうような気がした
悲しいも嬉しいも
強がりの隙を見てそっと逃げ出して
路地裏、孤独の掃き溜めで歌を歌って

出典: 彷徨う日々とファンファーレ/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

2番の冒頭の歌詞を見ると、この歌の主人公はどこかで、いつかは自分も立ち直ると分かっているようです。
「自分を騙してしまうような気がした」と表現していますが、前を向くのもまた必要なことですよね。
しかし、今はまだまだそんな気持ちにはなれない様子。
そんな気持ちを込めて「掃き溜め」で歌った歌が次に続きます。

ラララ 心よ、なにもかも
ラララ 追い越してしまえよ
ラララ 言い訳だらけの頭は役立たず

何度も繰り返す自問自答
偶然を待っても何も変わらないな
わかっているんだ

出典: 彷徨う日々とファンファーレ/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

この期に及んでもなお、君と再び会える「偶然」を待ってしまっている主人公。

彼女と会うことはもうできない、と頭では分かっていても、心がそこに追いついていないようです。
「心よ、なにもかも追い越してしまえよ」というフレーズからは、そんな理性を飛び越えて会いに行ってしまえという叫びが読み取れます。
しかし実際はそんなことはできず、主人公はただ「会いたい」と繰り返すばかりなのです。

会いたいだけ
嗚呼、痛いだけ
日々を思い返す
甘い夜と自販機のライト
野犬鳴いてるカンタービレ
会いたいだけ
嗚呼、痛いだけ
君が踊っている
鈍色の街がトワイライト
夢から覚めて泣いたって

出典: 彷徨う日々とファンファーレ/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

さらに「会いたい」と繰り返す主人公。
自販機、野犬の鳴き声と、具体的な状況が描かれていますね。
ここから少しずつ、曲は新たな展開を迎えていきます。

「君のもとへ走るバスに飛び乗って」

会いたいだけ
会いたいだけ
君を想っている
暗い夜にかすかな光を
揺れる明日にファンファーレ
会いたいだけ
会いたいだけ
君が瞼の裏、焼き付いて
いまも鮮明に、笑ったり泣いたり忙しいな

出典: 彷徨う日々とファンファーレ/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

「嗚呼、痛いだけ」というフレーズがなくなり、「会いたいだけ」と繰り返されていますね。
胸の痛みを殺し、「会いたい」という自分の衝動に正直になることを決めたようです。
ここで鳴るファンファーレはもはや、寂しさや悲しさを助長するものではありません。
自分の想いに正直になり、行動に移すことに決めた主人公を鼓舞する祝砲です。

ただあてもなく彷徨う日々からはさよなら
君のもとへ走るバスに飛び乗って

出典: 彷徨う日々とファンファーレ/作詞:谷口鮪 作曲:谷口鮪

ファンファーレに導かれるまま、「君」のもとへと向かう主人公。
この物語がハッピーエンドなのかどうか、聴き手には分かりません。
しかし爽やかなサウンドは、なんだか幸せな夏の訪れを示しているように聞こえてなりません。

さいごに

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