阿部真央【春】
4枚目のアルバム「戦いは終わらない」収録曲
キュートなナンバー【私は貴方がいいのです】やポップ・チューン【プレイボーイ】。
バラード曲【boyfriend】など、様々な恋愛模様をあらゆる声で歌い上げてきた阿部真央。
彼女は2019年にデビュー10周年を迎え、ますます世間から注目されている存在です。
今回は4枚目のアルバム「戦いはまだ終わらない」から【春】という楽曲をお届けします。
彼氏に浮気されて裏切られた女性の心情を、切なく歌い上げます。
主人公と「貴方」の恋を春に咲く花に喩えた秀逸な歌詞に、きっと惹きつけられるはず。
涙なしでは聴くことができない【春】に描かれた物語をみていきましょう。
主人公と「貴方」の恋
それでは早速歌詞を解説していきましょう。
まずは1番の歌詞から。
ここでは主人公と「貴方」の恋について描かれています。
2人の恋はどんな風に終わってしまったのか、またこれまでの関係はどのようなものだったのか。
悲哀に満ちた恋物語の中に入っていきましょう。
散ってしまった恋
最期の花びら 枯れて舞い落ちた
最期に貴方は 微笑みだけ置いて行った
あの時貴方は何もかも理解ってて
それでも私をできるだけ強く抱いた
出典: 春/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
初めに少し触れたように、歌詞に出てくる花は主人公と「貴方」の恋を喩えたもの。
その最後の花びらが枯れたということは2人の恋もついに散ってしまったのでしょう。
初めは満開に咲いていた花。
けれど、1つひとつの花びらが枯れていっていることを主人公はどこかで気づいていました。
それでも最後の1つを枯らさないように守ってきたのです。
恋の終わりに主人公が見たのは、「貴方」の笑顔。
その時に主人公は悟りました。
「貴方」はもうこの恋に終止符を打つつもりだったということを…。
だから、お別れのつもりで「貴方」は私を強く抱いたのです。
それに対してきっと主人公はどこかで期待をしていたのでしょう。
自分の元に「貴方」の気持ちが戻ってきてくれた…と喜ぶ主人公の気持ちを考えると胸が苦しくなります。
自分を誤魔化していた恋
確かめたいのは「愛があるのか」
困らせたいのは「愛があるから」
ここに居たいのは「愛してるから」
叶わぬ恋だと知ってはいた
あのアスファルトに 這って泣いた
喉が渇くまで貴方の名前呼んだのに
出典: 春/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
終わってしまった「貴方」との恋を見つめて、主人公はこれまでについて考えます。
主人公は1〜3文目に描かれているように、「貴方」の言動に理由をつけては自分を安心させていたのです。
「貴方」はきっと私を愛しているはずだ…。
そう自分に言い聞かせるのは、どこかで不安があるからです。
それもそのはず。
4文目から察すると、「貴方」は主人公のことを好きだったから恋人になってくれたわけではなかったのです。
主人公の気持ちばかりが燃え上がったまま始まった2人の恋。
それでも主人公はいつか「貴方」が自分を見てくれるだろうと期待をしていたのでしょう。
人目を気にせず泣いて求めるほど、主人公は「貴方」を愛していたのです。
けれど、結局「貴方」が主人公のことを本当の意味で見てくれることはありませんでした。
「貴方」の裏切り
主人公が自分を誤魔化してまで続けたかった「貴方」との恋。
それもついに終わりを迎えてしまいました。
どうして2人の恋は終わってしまったのでしょうか?
2番の歌詞では、「貴方」が主人公にした裏切りに注目です。
別の恋人
帰る場所を用意しているままで好きだなんて
言わないで
綺麗な花びら 季節は途絶えた
それでも私は まだこの場所を動けないまま
出典: 春/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
主人公のことを心から愛しているわけではなかった「貴方」。
それでも、愛情表現を全くしてくれないことはなかったようです。
けれど後にわかったのは「貴方」には別の恋人がいたということ。
そして、その罪悪感があるが故に「好き」だと言ってくれていたということです。
「貴方」の大きな裏切り。
それを知った主人公の絶望はどれほど大きなものだったのでしょうか。
想像もつかないくらいの苦しみが想像できます。
それでも諦めきれず、主人公は「貴方」と恋人になれて幸せだった頃の思い出に取り憑かれているようです。
浮気されていると知っても、主人公はその裏切りからしばらく目を逸らしていました。