スピッツの「メモリーズ」とは?
「メモリーズ」は2000年6月21日に発売されたスピッツの通算22枚目のシングル、
「メモリーズ/放浪カモメはどこまでも」に収録された楽曲で、今回はこの曲の歌詞の意味を徹底的に解釈していきます!
しかし、「メモリーズ」を解釈する上で問題となるのが、9作目のアルバム『ハヤブサ』に収録されている、
プロデューサーの石田ショーキチさんが作った新しいCメロと歌詞を加えて再アレンジした「メモリーズ・カスタム」の存在です。
「メモリーズ」の歌詞解釈をする上で「メモリーズ・カスタム」をどう扱うべき?
この「メモリーズ」と「メモリーズ・カスタム」を収録した時期に大きな開きがあるのであれば、新しい方はその時に感じたことを
付け加えているという可能性もありますよね。
しかし、シングル盤に収録された「メモリーズ」は1999年10月にロサンゼルスでレコーディングされたもの。
そして、『ハヤブサ』に収録された「メモリーズ・カスタム」は2000年の1月〜5月にかけて収録されたものなんです。
このことから、「メモリーズ」に込めたかった意味を石田ショーキチさんとアルバムを作って行く中で見直し、付け加えたと考えるのが妥当ではないでしょうか。
そして、ライブでは多く演奏されているのは、実はこの「メモリーズ・カスタム」の方なんです。
このことから、草野さんではなく、石田さんが作ったメロディーと歌詞ではありますが、スピッツが「メモリーズ」で言いたかった重要なメッセージを代弁していると考えても良いといえるでしょう。
というわけで、今回は「メモリーズ・カスタム」のCメロの歌詞解釈も加えることによって、「メモリーズ」の歌詞の意味により迫っていければと思います。
スピッツ「メモリーズ」の歌詞解釈!
まずは、「メモリーズ」の歌詞を解釈する上で重要なカギとなる「メモリーズ・カスタム」のCメロを先に解釈していきます。
「メモリーズ」はどんなシチュエーションでどんな思い出について歌っているのか...。
ここから解き明かしていきましょう!
キーワードは「もう一度忘れてしまおう」という歌詞
嵐が過ぎて知ってしまった
追いかけた物の正体
もう一度忘れてしまおう
ちょっと無理しても
明日を描いて 幾つも描いて
出典: https://twitter.com/ryuutyannshogi/status/592314280864649216
「嵐が過ぎて知ってしまった 追いかけた物の正体」という歌詞から始まるこのCメロ。
「追いかけた物」は、この後見ていきますが「メモリーズ」で歌われる、
思い出しただけで魔法のように一瞬だけ幸せになれるような「効果は絶大」な思い出です。
「メモリーズ」の歌詞を見ていけばわかりますが、そんな思い出の中にいる「あなた」は昔付き合っていた人だとわかります。
では、最近まで付き合っていた相手との思い出なのか、それとも...というのがわかるのが次の歌詞。
「もう一度忘れてしまおう ちょっと無理しても」ということで、一度「無理して」忘れた思い出をしばらくたってもう一度思い出して、
そして、また「忘れてしまおう」としていることがわかります。
このことから、「あなた」との恋愛が終わってしまい、「あなた」との幸せな思い出をなんとか忘れたものの、
しばらく時が経ってまたその思い出の数々(「メモリーズ」)を思い出して、幸せな気分になってしまい、
こんな過去にいつまでも縋り、囚われていてはいけない、「ちょっと無理しても」、「メモリーズ」を忘れて、
「明日を描いて 幾つも描いて」新しい恋愛へと進まなければならないという曲だとわかりますね。
今の恋愛がうまくいっていない時、あまりにも幸せだった恋愛の思い出の断片がフラッシュバックして、そっちに引っ張られてしまうこと、ありますよね。
ノリ重視で作られた楽曲と言われる「メモリーズ」ですが、これがわかると共感できるという人も増えるのではないでしょうか。
これを踏まえて、「メモリーズ」の歌詞を解釈していきましょう。
思い出すだけで簡単に幸せになれる「メモリーズ」は手放したくても手放せない
肝心な時に役にも立たない
ヒマつぶしのストーリー
簡単で凄い 効果は絶大
マッチ1本の灯り
不自然なくらい幼稚で切ない
嘘半分のメモリーズ
ひっぱり出したら
いつもカビ臭い
大丈夫かな?メモリーズ
出典: https://twitter.com/milkcachet/status/89498470561480704
恋愛で失敗した経験は後の恋愛に役に立ったりするものですが、幸せな思い出は、新しい恋愛へと進もうとする「肝心な時に」、
経験として「役にも立たない」ためヒマな時に好きだったドラマを思い出すように、ただの「ストーリー」になってしまっているのでした。
しかし、「ヒマつぶし」にしては、思い出すだけで「簡単」なのに「効果は絶大」でマッチ売りの少女の「マッチ1本の灯り」のように、
魔法にかかったように幸せな気持ちになれるため、手放すことはできないのです。
思い出は不純物とはよくいったものですが、自分の主観だけで形成された思い出は「不自然なくらい幼稚で切ない」、もはや「嘘半分」の記憶。
そして、その失恋から月日が経っているせいでしょう。
過去の恋愛を思い出すとガラケーを普通に使ってメールしていたみたいに、時代の流れを感じてしまうものですよね。
「ひっぱり出したらいつもカビ臭い」ため、「大丈夫かな?」と「嘘半分」なばかりではなく月日とともに朧げになっていく思い出に、
その鮮度を心配するのでした。
これだけ韻を踏んで気持ち良く聴かせておきながら、これだけの意味を込められる草野さんはやっぱり凄すぎますね。
続きの歌詞も見ていきましょう。