SEKAI NO OWARI「夜桜」
「夜桜」は、SEKAI NO OWARIのメジャー3rdアルバム『Eye』に収録されている楽曲です。
アコースティックギターのアルペジオで始まるイントロ。
そこにFukaseの落ち着いた歌唱が入ってきます。
センチメンタルなサウンドに呼応するかのようなその歌詞世界。
桜が咲く、春の夜を描いています。
どこか切なく、悲しさを帯びているその物語。
しかし、そこには日本人らしい美的センスが隠されていました。
今回は、「夜桜」の歌詞の意味を考察していきます。
「夜桜」1番
春の夜のノスタルジー
春の匂いは前世の記憶のよう
思い出せないんだけど、少し懐かしいような
出典: 夜桜/作詞:Fukase 作曲:Nakajin,Fukase
切ないアルペジオのイントロから、憂いを帯びたFukaseの歌声が鼓膜へ入り込んできます。
冒頭の春という言葉から、この楽曲における季節が分かるようになっているのです。
2行目では、主人公が春の香りに対して懐かしさを感じている様子が分かります。
彼はこの季節に対して、ある種のノスタルジーを感じているようです。
春は出会いの季節という側面が強調されがちですが、同時に別れの季節という側面もあります。
この楽曲における春は、後者を意味しているのではないでしょうか。
センチメンタルな背景を想像する出だしの2行です。
君からの連絡を待っている
ここのところ夜がやけに長い気がする
貴方から連絡がないから
きっとそう思うんだろう
出典: 夜桜/作詞:Fukase 作曲:Nakajin,Fukase
主人公にとっては、長く感じられる春の夜。
春は過ごしやすい気候ということもあり、気持ちが浮つく人も多いでしょう。
しかし、彼にとってはそうでは無いようです。
そして、その理由もこのパートで説明されています。
その理由が記されているのが2〜3行目の歌詞です。
心待ちにしている相手から、連絡がやって来ない。
そのことが夜を長く感じさせているのです。
彼にとっては、胸が締め付けられるような毎日なのでしょう。
戻れないあの日々
あの時、僕らが数え切れぬほどあると、
思ってたこの春はもうあと何回来るんだろう
出典: 夜桜/作詞:Fukase 作曲:Nakajin,Fukase
ここで、彼は過去を振り返っているようです。
ここで振り返っている春という季節は、今とは違った輝きを放っているように感じます。
今より少し前の、根拠のない自信に支配された日々。
そんな魔法も今では解けて、これから訪れる春の回数を指折り数えるようになりました。
今では失ってしまった感覚。
主人公は、その感覚を懐かしんでいるようです。
失って気づくこと
恋しさが募る春の夜
貴方に出逢うまでは
もう少し強かった
一人がこんなに寂しいなんて
思わなかったんだ
出典: 夜桜/作詞:Fukase 作曲:Nakajin,Fukase