予想外の事件で再注目!?
1992年にリリースされた、Mr.Childrenの2枚目のシングルです。
発売当初はあまり売れず、セールス的には失敗に終わったそうです。
しかし今では、ベストアルバムにも収録されるような、初期ミスチルの代表曲となっています。
20年以上前の古い曲ですが、2015年に思わぬ形で注目されたので、ご存じの方もいるかもしれませんね。
とある歌手が発売したCDのカップリング曲が、この「抱きしめたい」の歌詞と酷似していたのです。
作詞家の方は盗作を否定していたようですが、8~9割ほどの部分がそっくりだったため問題になりました。
その後事件はどうなったのかは気になるところですが、とりあえず歌詞に見ていきましょう。
1番で歌われる「二人だけの夢」とは?
出会った日と 同じように
霧雨けむる 静かな夜
目を閉じれば 浮かんでくる
あの日のままの二人
出典: 抱きしめたい/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
主人公の<僕>は、静かな夜に降る霧雨を見て、ふと思い出したようです。
恋人である<君>と出会った日も、同じような夜だったなぁと。
二人の恋愛が始まってから、どれくらいの期間がたったのかは、歌詞を見ただけではわかりません。
しかし、付き合い初めて、一二ヶ月ということはないように思います。
それなりに時間もたっているのではないでしょうか。
それにもかかわらず、二人の出会いを、<僕>は今でも鮮明に覚えているようですね。
人並みで溢れた 街のショウウインドウ
見とれた君が ふいにつまずいた その時
受け止めた 両手のぬくもりが 今でも
出典: 抱きしめたい/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
そして、Aメロとはまた違うシーンを思い出しています。
それは、二人でショッピングにでも出かけていた時のことでしょう。
それにしても、彼女は、少しおっちょこちょいなようですね。
ショウウィンドウに気を取られ、何かにつまずいて、転けそうになったようです。
そこで<僕>は、彼女の身体を支え、それを救ったのでしょう。
もしかしたら、<僕>は、その時はじめて彼女の身体に触れたのかもしれません。
その両手のぬくもりが、今でも残っていると言っています。
もちろん物理的に、その温度が残っているわけはありません。
残っているのは、その時に感じていた、彼女を好きな気持ちだったり、一緒にいる幸福感だったり。
そういった温かい気持ちのことではないでしょうか。
抱きしめたい 溢れるほどの
想いが こぼれてしまう前に
二人だけの 夢を胸に 歩いてゆこう
終わった恋の心の傷跡は 僕にあずけて
出典: 抱きしめたい/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
二人でショッピングに行った日から、どれだけ時間がたったのかはわかりません。
が、その日から積もりに積もった気持ちや、日ごとに大きくなる恋愛感情が溢れてしまいそうだと言っています。
では、「想いがこぼれてしまう前に 抱きしめたい」とはどういう意味でしょうか。
想いがこぼれてしまってはもったいないし、余すことなく全部伝えたい。
だけど、言葉にして伝えるのも難しいし、野暮ったい。
だから、あの日ふいに<君>に触れてぬくもりを感させてくれたように、抱きしめることで僕のこの想いを伝えたい。
そんなことを言っているように思えませんか?
次に、歌詞は、「二人だけの夢を胸に歩いてゆこう」と続いています。
「二人だけの夢」というのは、何を指すでしょうか?
結婚でしょうか?
それよりももっと先のことを描いているのでしょうか?
それとも、そんな先のことではなくて、もっと身近なことなのでしょうか?
答えはわかりません。
二人だけにしかわからないことなのでしょう。
ですので、曲を聴く人が、それぞれ自分に置き換えたりして、思い浮かべればいいのではないかと思います。
そして、最後の行の歌詞「終わった恋の心の傷跡は 僕にあずけて」に続きます。
どうやら、彼女は、失恋による心の傷があるようなのです。
失恋をすると、誰でも多かれ少なかれ傷を負うものではあります。
ですが、彼女はまだ吹っ切れているわけではなさそうですね。
完全に失恋を乗り越えていたなら、わざわざこんなことは書かないでしょう。
ですから、そういったことも含めて、二人で歩いてゆこうと言っているのだと思います。
2番で歌われる<僕>の恋愛観とは?
キャンドルを灯すように
そっと二人 育ててきた
形のない この想いは 今はもう 消えはしない
出典: 抱きしめたい/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
再びAメロが歌われますが、わたし的にはあまり理解できない歌詞でした。
なんで「キャンドル」に例えたんだろう、と思ったのです。
なんでそんなことを思ったかというと、キャンドルの火はいずれ消えてしまうものだからです。
ですが、「今はもう消えはしない」と言っていますので、そういう常識を超えた、一生消えない愛情を表しているのでしょうか。
そう解釈すると、なんとなくわかりますが、それなら、「キャンドルの火のように」という表現になるのではないでしょうか。
しかし、「キャンドルを灯すように育ててきた」と歌われているのです。
なので、よくわからないなぁと思っていましたが、いろいろ調べてみたところ、なるほどと思う解釈を見つけました。
それは、「キャンドルを灯す」というのは、結婚式を想像させるワードではないか、というものです。
そう考えると、二人は結婚を意識した付き合いをしてるということとがわかります。
そして、結婚したあとも変わらぬ愛情をもと続けようということが歌われていることになるのです。
震えそうな夜に 声をひそめ 君と
指切りした あの約束 忘れてやしないよ
心配しないで 君だけを 見ている
出典: 抱きしめたい/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
上で書いたような解釈をすると、ここで歌われている「約束」はプロポーズのようなものかもしれません。
もしくは、その次に「心配しないで 君だけを見ている」と歌われてますから、「浮気はしない」というような約束なのかもしれません。
しかし、1番のサビで言っていた「二人だけの夢」と同じように、ここでは二人にしかわからない約束なのだと思います。
その約束何であろうと、歌詞を見ていると、二人の恋愛の熱量がこちらにも伝わってきそうですね。
もしも 君が 泣きたい位に
傷つき 肩を落とす時には
誰よりも素敵な 笑顔を 探しに行こう
全てのことを 受け止めて行きたい
ずっと二人で
出典: 抱きしめたい/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
1番のサビでは、「終わった恋の心の傷跡」という歌詞が歌われていました。
これは過去のことです。
一方、2番のサビでは、未来のことを語っています。
これから先、<君>が傷つくようなことがあったら、その時は、「素敵な笑顔を探しに行こう」と語っています。
少し個人的な話になりますが、わたしは、ここの歌詞が好きで、いつも素敵だなぁと思ってしまいます。
「笑顔をあげる」とかじゃなくて、「探しに行こう」となっているのが、素敵だと思いませんか?
1番のサビの、「二人で歩いてゆこう」というのにも通じるところがあると思います。
つまり、「連れて行ってあげる」というのではなくて、「歩いてゆこう」なのです。
もちろん、恋愛観は人それぞれで、常にリードされたいという方もいるでしょうが、これも素敵な恋愛観だと思いませんか?
そして、最後には、「ずっと二人で」と、愛の言葉が歌われています。