名盤「無罪モラトリアム」

モルヒネ(椎名林檎)の意味を解釈!歌詞に秘められた想いとは?アルバム「無罪モラトリアム」収録曲の画像

椎名林檎の1作目のスタジオアルバム

「モルヒネ」が収録されているのは、1992年に発売された椎名林檎1作目のスタジオアルバム「無罪モラトリアム」。

売り上げは170万枚を超えるミリオンセラーを記録しました。

デビュー10周年の2008年には、リマスターされた「MoRA」と、本作「無罪モラトリアム」のアナログ盤が発売されました。

ファンの間でも人気が高く、正真正銘の名盤といえるでしょう。

全編にわたって、作詞・作曲椎名林檎自身によるもの。

編曲は後に結成するバンド東京事変」のベースを担う亀田誠治が手がけています。

十代の椎名林檎を集約した一枚

1. 「正しい街」
2. 「歌舞伎町の女王」
3. 「丸の内サディスティック」
4. 「幸福論(悦楽編)」
5. 「茜さす 帰路照らされど・・・」
6. 「シドと白昼夢」
7. 「積木遊び」
8. 「ここでキスして。」
9. 「同じ夜」
10. 「警告」
11. 「モルヒネ」

出典: 無罪モラトリアム/椎名林檎

「無罪モラトリアム」に収録されている11曲は、主に椎名林檎が十代の頃に制作した曲だそう。

代表曲の一つである「ここでキスして。」や「ギブス」は高校1〜2年の頃に制作した曲というから驚きです……。

デビュー前から作りためていた曲を集約したともいえる、「無罪モラトリアム」。

初期から実力が認められていた椎名林檎の音楽を、思う存分楽しめる一枚です。

「モルヒネ」はこのアルバムのラストナンバー

 今回ご紹介していく「モルヒネ」は、「無罪モラトリアム」のラストを飾るナンバーです。

「警告」の研ぎ澄まされた終わりから一変、ポップでありながらも、どこかレトロな音で始まる「モルヒネ」のイントロ。

どのような椎名林檎ワールドがこの後に広がっていくのか、初めて聴いた時に心踊ったことを思い出します。

そんな「モルヒネ」の世界を、じっくりご紹介していきます!

歌詞に秘められた想いとは?

モルヒネ(椎名林檎)の意味を解釈!歌詞に秘められた想いとは?アルバム「無罪モラトリアム」収録曲の画像

「モルヒネ」の歌詞には、どのような想いが秘められているのでしょうか?

椎名林檎愛好家の間でも、さまざまな歌詞の解釈が行き交うこの曲。今回は筆者なりの解釈をご紹介してみようと思います。

あなたは「モルヒネ」の歌詞をどう解釈しますか?ぜひ一つの参考として、お楽しみいただければ幸いです。

そもそも"モルヒネ"とは?

そもそも、タイトルの「モルヒネ」とは?よくその名前は耳にすれど、その正体は正直わからない、なんて方もいることと思います。

「モルヒネ」は麻薬の一種です。

医療用麻薬としても使用され、鎮痛作用があるのも特徴。がんの痛みを緩和するために用いられることもあるそうです。

今回の曲中では痛みを抑える「鎮痛剤」として、認識していただければ曲の世界と紐づくことでしょう。

歌詞の意味を解釈

それでは、「モルヒネ」の歌詞を解釈していきます。

率直に、筆者は「モルヒネ」を失恋の曲、と解釈しました。失恋後、元恋人が新しい彼女と一緒にいる場面に出くわす。

場面ごとに解釈を進めていきたいと思います。

家にはひとりで帰ります
あたしには鳥が4羽ついてるので
家には納豆が有ります
あたしにはグリコゲンがあるし
驚きなのは地下鉄のレール

出典: モルヒネ/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

かつて一緒に暮らしていた恋人と別れ、一人の帰り道

「鳥が4羽ついてるので」と言うのは、強がりの例えではないでしょうか。こんなふざけたことも言える、あたしは一人で大丈夫。

そして、「納豆」や「グリコゲン」は彼女の元気の象徴、強がりの例えではないでしょうか。

あなたがいなくて一人でも、これだけあるのだから大丈夫、と。

大丈夫なはずなのに、彼女は驚いた。ぼうっとしてたら、山手線が一周していた。

地下鉄のレール、繋がっていたんだっけ。そんなにあなたのこと考えちゃってたんだ、と。

あなたがいない帰り道に、大丈夫じゃない自分を自覚するのです。

素敵な貴方をたたえます
あたしにはとりえなんて無いですので
素敵な赤色のボトムス
あたしには少し似合わないし
驚きなのは空色のカーテン

出典: モルヒネ/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎

あなたと恋人が、一緒に歩いているのを偶然見かけてしまった。可愛らしく素敵な彼女ですね、とひっそり強がって賞賛するのです。

あなたが褒めていた、彼女が履いた「赤色」のボトムス。

あたしにそれが似合わない理由、それは、あなたが好きだと言っていたはずの「空色」をずっと選んできたから。

ほら、一人帰ってきた部屋にもある、「空色のカーテン」

「赤色」と正反対なもんだから、驚いた。

あなたが嘘をついていたのか、はたまた変わってしまったのか、それはもう今となってはわからないけれど。