楽曲について
「深海少女」はボカロP・ゆうゆによって2010年9月1日にニコニコ動画へ投稿された楽曲です。
動画の再生数は400万回を越え、ボカロ好きであれば知らぬ人はいないであろう超人気曲です。
楽曲には深海に沈む一人の少女が、再び外の世界を目指すまでのストーリーが描かれています。
いったいどんな物語なのか、歌詞を深く探っていきましょう。
海の中の少女
悲しみに溺れる
悲しみの海に沈んだ私 目を開けるのも億劫
このままどこまでも堕ちて行き 誰にも見つけられないのかな
出典: 深海少女/作詞:ゆうゆ 作曲:ゆうゆ
海の中に一人、少女の姿がみえます。
深い悲しみに囚われた彼女は、瞳を閉じたまま静かに沈み続けているようです。
海の底は太陽の光すら届かない暗闇の世界。そんな中では彼女に気付く人は誰もいないのでしょう。
深い海は悲しみに暮れ、閉ざされた彼女の心の象徴です。
閉じた瞳はそんな彼女が現実から逃れ、目をそらし続けていることを表しています。
大きな悲しみから立ち上がることができないまま、心を閉ざし塞ぎ込んでいるのですね。
照らす光
どこへ向かい、何をすれば? ふと射し込む一筋の光
手を伸ばせば届きそうだけど 波に拐われて見失った
出典: 深海少女/作詞:ゆうゆ 作曲:ゆうゆ
彼女を襲った悲しみはいったいどんなものだったのでしょうか。
曲中で詳しくは明かされませんが、全てを信じられなくなるような悲しい出来事があったのでしょう。
辛く苦しい思いは、彼女の心をすっかり塞がせてしまいました。
前を向くことができず、希望の見えない世界で少女は途方に暮れます。
これから先どう生きていけばいいのだろう、と。
そんな時に、真っ暗だった海の世界に光が灯ります。
いったい何でしょうか。気になったものの、その正体を知ることはできませんでした。
好奇心がわきはしたものの、臆病な気持ちが勝り、知ることをためらってしまったのでしょう。
自分の殻に閉じこもっていた主人公が、初めて外の世界へ興味を示すシーンです。
おそらくここで、主人公とある人物との出会いがあったと推測できます。
その人とふれ合って、彼女の世界は少しずつ変わっていくのです。
呼び覚まされた心
あれは一体なんだったのかな あたたかくて眩しかった
無意識のカウンターイルミネーション
嘘つきは誰?
出典: 深海少女/作詞:ゆうゆ 作曲:ゆうゆ
見えた光は新たな出会いによってもたらされた希望です。
その意味に未だ気づいていない主人公は暗闇を照らした光の正体が気になって仕方がありません。
心地よい光は、彼女にとって悪いものではないようです。なぜか心を惹かれてしまいます。
光のもたらした変化は、主人公の心の奥深くにまで及んでいきます。
彼女の奥底に眠る、本当の心を呼び覚ましたのです。
再び現実を受け入れて前を向かなくてはならない。彼女の奥底にあったのはそんな思いでした。
海の底から動くことができない彼女の本当の心は外の世界を求めていたのです。
その思いが無意識のうちに、外の世界をより輝かせて見せます。
もう一度外の世界へ出たいという本当の心を偽って、目を背け続けている主人公。
最後に語りかけられる問いかけは、彼女の心から発せられた彼女自身へのメッセージなのです。
恋の予感
深海少女 まだまだ沈む
暗闇の彼方へ閉じこもる
深海少女 だけど知りたい
心惹かれるあの人を見つけたから
出典: 深海少女/作詞:ゆうゆ 作曲:ゆうゆ
心の奥底では立ち直ることを望んでいながらも、主人公は未だ悲しみに暮れることを望みます。
塞いだ心を開き、前を向くことはまだできません。
ですが、そんな彼女の心に浮かび上がる存在があります。あのとき出会った人物の姿です。
深海に降り注いだ希望は新しい恋の予感でした。彼女は彼に惹かれ、恋に落ちていたのです。