名盤中の名曲

岡村靖幸【あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう】歌詞解釈!シュートを決める場所は?!の画像

1990年10月に発売された岡村靖幸の13枚目のシングル曲。

オリジナルアルバム家庭教師」にも収録されました。

アルバム内ではファンキーな曲が多い中、かなりキャッチーで爽やかな青春ソング

クリアなギターサウンドが気持ちの良い作品です。

今回は岡村靖幸が描く青春を、この曲の歌詞から徹底的に紐解いていきます。

曲の舞台は?

弱小チームに所属するバスケ少年

あともう15秒で このままじゃ35連敗
ぼくの胸のドラムがヘビメタを熱演している
汗で滑るバッシュー まるで謡うイルカみたいだ
あの娘ぼくがロングシュート決めたら どんな顔するだろう?

出典: あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう/作詞:岡村靖幸 作曲:岡村靖幸

「ロングシュート」というとサッカーでもありますが、この曲ではバスケットボール

岡村靖幸自身も、学生時代にはバスケットボールをやっていたようです。

また歌詞の中でも“バッシュー”と出てきます。

この部分は、まさに試合が終わる直前の瞬間。

主人公のチームは、見たところかなり弱小。

この試合に負けてしまったら、“35連敗目”といっています。

今、このロングシュートさえ決まれば。

そんな想いが駆け巡り、心臓はバクバク。

と同時に、観戦しにきている“あの娘”にドキドキしているのでしょう。

今自分に、この試合の勝敗の全てがかかっている。

そんな手に汗握る瞬間を、じっと見つめている大好きな“あの娘”

ここまではおそらく接戦だったのでしょう。

しかしジャンプしようと屈んだ時、汗に濡れた床のせいで滑ってしまいます

その瞬間は、まさに“謡うイルカ”のように滑らかに。

果たして、ぼくのロングシュートは決まるのでしょうか?

“ぼく”が本当に決めたかったのは

誰もがもう諦めて苦く微笑むけれど
僕らならできるはず
革命チックなダンキンシュート

出典: あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう/作詞:岡村靖幸 作曲:岡村靖幸

ここでは“ダンキンシュート”と出てきます。

これは、ゴールのリングに直接叩き込むダンクシュートのこと。

ロングシュートとは、ゴールできる確率が全然違います。

彼がいっているダンキンシュートなら、かなり高確率でゴールが決まります。

おそらく、足を滑らせてしまったことによってロングシュートは決まらなかったのでしょう。

結局、勝利することはできなかった。

“あの娘”に、カッコいいところを見せることはできなかったのです。

でもここでいう“ダンキンシュート”は、おそらく試合のゴールではありません。

バスケのゴールではなく、“あの娘”の心。

ロングシュートを決めて、試合だけでなく自分の恋にも勝利しようとしていたのです。

試合にも惨敗して、何ともカッコわるい主人公。

もうどうせ、“あの娘”にも振り向いてもらえないだろう。

そんな諦めムードが漂っています。

でも試合なんて関係なく、“あの娘”の心をつかまえることができたなら。

主人公の恋い焦がれる気持ちがよくあらわれています。

“ロング”に込められた想いとは?

曲名の「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」。

例えば、ここでいう“シュート”を「告白」と考えてみます。

そうすると、“ロング”にも何か意味が込められているのでしょう。

“あの娘”の心は、主人公からは遠いのです。

もしかしたら、話したこともないレベルの仲なのかもしれません。

本当は“ダンキン”できるくらい、近づきたかった

でも主人公にとって“ダンキン”は“革命的”なのです。

二人の間では、もうほとんどありえない。

もうこれ以上、近づくことはできません。

一体なぜ、主人公は“あの娘”と親密になることができないのでしょうか?

思うようにはいかないのが青春

青春って1,2,3,ジャンプ 暴れまくってる情熱
青春って1,2,3,ジャンプ
あの娘だけの汗まみれのスター

出典: あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう/作詞:岡村靖幸 作曲:岡村靖幸

試合に負けまくっている弱小チームでも良かった。

でも“あの娘”の目にはスターに映りたかった。

もうぶつけようのない片想いの情熱が、自分の中で暴れ回ります。

本当の青春は、上手くいかないことばかりです。

ここで出てくるように、1・2・3とトントン拍子で進んでいけばいいのに

助走をつけて勢いよく跳んで、思うような場所に辿り着けば。

忘れていた苦々しい思い出が、どこか頭をかすめるようです。

“ぼく”に立ちはだかる別れ

“あの娘”と離れたくなかったのに