また、ここで歌詞に大きな変化が訪れます。
歌手への呼びかけ方です。
最初は「貴方」だったのに、これ以降は「君」へと変わります。
君の方が、よそよそしい感じを受ける呼び方です。
心理的な距離が開いてしまったことを表現しているのでしょう。
透明な声で語られる本音
吸って吐いて体巡る
濁った空気の中掻き回して
忘れないで本当なら
惹かれる声に溺れていたかった
出典: オトノ葉feat.アサキ/作詞:GADORO,アサキ 作曲:アサキ
曲はサビにさしかかり、アサキさんの透明な歌声が響きます。
これは主人公の本音なのではないでしょうか。
また、主人公はこの純粋な気持ちを自覚できていない可能性があります。
好きな歌手の歌は、主人公にとってとても清らかなものだったようです。
濁ったものに濁ったものを混ぜても、さらに濁るだけだからです。
ただ好きな声の歌を聴いていたい気持ちが、エゴで歪んでしまったのでしょうか。
かつての「純粋に応援する気持ち」を取り戻したいという願いかもしれません。
自分を見失いそうな主人公
大好きな人を守りたい? ささやかな願い
君のおかげで今も揺れてる
向こう側まで俺が連れてく
しょうもない奴にだまされる真似だけ
やめてくれりゃOK
出典: オトノ葉feat.アサキ/作詞:GADORO,アサキ 作曲:アサキ
主人公の気持ちは、まだ定まらないのでしょうか。
連日、ニュースで芸能人の熱愛報道がなされます。
芸能界と一般人では、周りにいる人や出会う人も全く違うはずです。
どうにもできない主人公は、歌手に1つだけ願いを持っています。
それが「騙されないで」ということでしょうか。
理想の人に近づきたい?主人公も歌を歌う
この空の下探す憩いの場
独りよがりだろうとひっそり歌う
ひっそり歌う
出典: オトノ葉feat.アサキ/作詞:GADORO,アサキ 作曲:アサキ
有名な人は、ほとんど毎日テレビで取り上げられます。
歌手の話題を目にするたび、主人公は心乱されるのかもしれません。
心がほっとする「憩える」ところを探しているのでしょうか。
また、ここで主人公が初めての試みをしています。
ずばり歌です。
なんの歌を歌っているのかは想像するしかありません。
自分の苦しい気持ちにマッチする歌かもしれません。
あるいは、好きな歌手の曲をカバーしているかもしれません。
しかし、決して人前に出たいわけではないようです。
歌手と同じ歌を歌うことによって、一体感を得たいのかもしれませんね。
出会ったこともまた運命
ゴミ箱と化した地球で出会って
出典: オトノ葉feat.アサキ/作詞:GADORO,アサキ 作曲:アサキ
ゴミ箱とは何のことを表すのでしょうか?
これは音楽業界を暗示している可能性があります。
曲がレコードで発売されていた時代、音楽は「出せば売れる」と言われていました。
そもそもリリースされる曲が少なく、みんなが同じ曲を聴くことが多かったからです。
現在は少し事情が違います。
技術の進歩や業界の拡大で、音楽はもっと手軽で多様なものになりました。
選択肢が増えたぶん、人の好みも分かれています。
出せば売れる時代は終わりました。
爆発的ヒットとなる曲から、あまり話題にならず終わる曲までたくさんあります。
それを、雑多につめこまれたもの「ゴミ箱」と表現したのではないでしょうか。
どの曲を聴くか?
選びきれないほどの中から好きな歌手が見つかるのは、ある意味奇跡です。
運命と言い換えても良いかもしれません。
主人公にとっては、恋愛的な運命の出会いとも似ているのでしょうか。