先に告白していれば…

なんでなんで あなたになんで 恋しちゃったんだろう
好きになっちゃいけない この胸がいたいよ
いちばんそばにいるのは 素敵なあの彼女(ひと)なんだ
もっと早く素直になれてたら なんて言えない

出典: なんで/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹

彼から思いを打ち明けられるまで、色んな未来を妄想していたのではないでしょうか。

どこかへ旅行に行ったり、一緒に買い物に行ったり。

楽しい未来しか頭にはなかったはずです。

帰り道だけじゃなく、これから先も二人で歩いていけたらと考えていたことでしょう。

しかし今あるのは空虚な思いだけ。

彼の描いていた未来には、主人公の姿はありませんでした。

別の誰かとの道を選ぼうとしているのです。

「わたしの方が先に告白していれば…」と後悔が押し寄せます。

答えがYESでもNOでも、告白をしていれば今のこの状況は変わっていたかもしれません。

少なくともこのモヤモヤしたままの切なさは生まれていなかったでしょう。

なぜ告白しなかった?

ではなぜ主人公は告白をしなかったのでしょうか。

いくら仲を深めていたとはいえ、まだ日が浅かったから?

告白が成功する自信がなかったから?

一つだけでなく、様々な要素が絡み合っているのかもしれません。

その中には「友達としての関係を壊したくない」という思いもあったのではないでしょうか。

もしもフラれてしまったら…。

恋人ではなく友達としても、これから二人で話すことができなくなってしまうかもしれないからです。

関係を修復するまでに時間がかかるかもしれません。

たとえまた一緒に帰れるようになったとしても気まずさを拭い去ることはできないでしょう。

元々仲の良かった二人だったからこそ、生まれた悩みともいえるかもしれません。

彼を傷つけたくはない

なんでなんで あなたになんで 恋しちゃったんだろう
ともだちのままでいれば 傷つくこともないのに
見つめるだけで終わるの 笑顔にかくしたままで
わたしのなかに あなたがいるの ねぇ

出典: なんで/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹

こんなに傷つくことになるなら、最初から好きにならなければよかった。

そんな思いが垣間見えます。

本来、新たな出会いであったり、恋をしたりすることは尊いものです。

しかし仲を深めれば深めるだけ、好きになればなるだけ、別れや失恋したときの悲しさも大きくなっていきます。

もし仮に主人公が告白をしてしまえば、思いは晴れるのかもしれません。

でもそれは彼を傷つけることになるでしょう。

人間関係も複雑になり、また新たな悩みが生まれてしまいます。

そんなこと主人公にできるはずがありません。

自分の感情は表に出さずに、心の中だけで思い続けることを選びます。

いつものように一緒に帰りたいけど

バス停でよく目立つ その背中を見つければ
はしゃいでまた 落ち込むんだ あなたは気づかない

出典: なんで/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹

場面は翌日に切り替わります。

いつものように帰ろうとしていると、彼の姿を発見。

「今日も一緒に帰れる!」と喜んだのも束の間、彼にはもう他に好きな人がいるという現実に引き戻されます。

きっと一晩中、彼のことばかりを考えていたのではないでしょうか。

心の中では会いたくて会いたくて仕方がなかったのだと思います。

本音

暮れゆく街 笑いあえてよかった
でもね 一度 手を握りたかった

出典: なんで/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹

あなたとの幸せだった時間を思い返す主人公。

夕焼けに照らされた笑顔に、今は一人涙を浮かべているようです。

そして二行目。

ここで初めて主人公の率直な願望が語られます。

今までは自分を責めたり、感情に蓋を閉めていただけでした。

抑えきれなくなった本音が、胸を打ちひしぐ切なさを表現しています。

代わりなんていない

なんでなんで あなたになんか 恋しちゃったんだろう
楽しいひとならほかに たくさんいるのにね
いつのまにか誰よりも たいせつなひとだった
わたしのなかの あなたを消して ねえ

出典: なんで/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹

あなただから好きになった。

たとえ同じような性格で、見た目も声も似ている人がいたとしてもそれは赤の他人です。

彼の代わりは誰も存在し得ません。

こんなにも苦しむなら全てを忘れ去ってしまいたいと追い込まれているようです。