2番の歌詞を解説
ここまでは1番の歌詞を解説しました。
歌詞を総集すると1番は男性目線で語られた内容であることが分かります。
この視点に着目しておくと後半で新たな発見があるはずです。
ここからは2番の歌詞をご紹介していきます。
一瞬一瞬
さっきまでの 日差しと影
教室の床は光の地図
1秒ごとに 変わって行くよ
思春期の気持ち
出典: ソンナコトナイヨ/作詞:秋元康 作曲:柳沢英樹
こちらの歌詞から場所は学校の教室であることが確定します。
時間は昼間で、太陽の光が煌々と降り注ぐ時間帯。
時間が経つにつれて影と光のバランスは変化します。
1分1秒同じ時はなく、それを思春期の心とリンクさせている歌詞です。
皆さんもご自身の幼少期を思い返してみて下さい。
好きな人や嫌いな物、楽しかったことなど…。
今日好きだった物が、明日には嫌いな物に変わっていた経験があるのではないでしょうか。
そのように年齢が若ければ若いほど、その時感じた想いを大事にする傾向があります。
この思春期の特徴を押さえた上で次の歌詞を見てみましょう。
口調の違い
分かってはいたけど 子供っぽいよね
ママにも言われた そのうちまたすぐ伸びてくるでしょ
出典: ソンナコトナイヨ/作詞:秋元康 作曲:柳沢英樹
本シーンで気になるのは口調の違いです。
ここまでは男性目線で気になる女の子の実状について語られました。
しかしこちらでは女性目線の語り口であることが分かります。
この部分だけは、主人公が想いを寄せる彼女の考え方が展開されているようです。
同じ作品の中で視点が変化するという描き方。非常に珍しい演出といえるでしょう。
また彼女が話している言葉にも注目します。切った時には気に入っていた前髪。
友達に言われた一言が原因で少し後悔している様子です。
ここから先程の歌詞と繋がりがあることが分かります。
前述した1秒の表現があったからこそ、この気分の移り変わりが活きているといって良いでしょう。
気に入っていたはずの前髪が、周囲の意見によって似合っていないと感じてしまい落ち込んでいるのです。
多感な思春期だからこそ、小さなことでも重要に思えて仕方がないのでしょう。
髪というのは生えてくるものだと分かっていても、本人にとっては一大事。
気にしてしまうのです。
2番のサビを解説
お待たせ致しました。
ここからは2番のサビから解説致します。
人気の秘訣
気になんてするな 僕は嫌いじゃない
どこが嫌なの 似合っているのに
気になんてするな いつだって眩しい
世界で1番好きだと気付いた
出典: ソンナコトナイヨ/作詞:秋元康 作曲:柳沢英樹
ここからは男性目線に戻ります。
切りすぎた前髪を気にする彼女。
それに対し、自分が感じる魅力を伝えることで励ますこちらの歌詞。
1番に引き続き、男性の一途な想いを感じることができます。
近年は思ったことを口にするのは憚られる時代。
周りの意見を先に聞き、それに合わせて発言する方も少なくないはず。
友人関係が命の思春期であればなおさらです。
しかし主人公は好きなものは好き、良くないことは良くないとはっきり表現できる性格の持ち主です。
普段は言えない気持ちを明確に代弁してくれる歌詞。
この部分が若い世代の心を掴む秘訣といえるでしょう。
周囲から馬鹿にされようと、自分で似合っていると思えばそれで良い。
主人公は周囲の意見に同調せず、ただ彼女のことを認めてくれています。
空気を読むことが暗黙の了解となっている近年において、彼のような姿勢を貫ける人は少ないといって良いでしょう。
好きな人のことをそのままに受け止める彼の姿勢。
不器用ながらも、自分を貫き通す彼の格好良さがよく表れています。
もしかしたら彼は、彼女に恋をしたことでここまで強くなれたのではないでしょうか。
今までは周囲に同調していたけれど、その一途な想いが彼を強くし、彼女への愛を言葉にさせた。
そう考えると恋というものの力が、この歌詞パートでは表現されていると考えられます。
思春期だからこそ、新たな経験を経て主人公は毎秒のように成長していくのでしょう。
君以外
他に綺麗な人はいるけど 僕は君でなきゃ嫌だ
あの絵の女の子のように 目が離せない
出典: ソンナコトナイヨ/作詞:秋元康 作曲:柳沢英樹
容姿端麗、頭脳明晰。
他に秀でた部分を持った人はたくさんいますが、そんな誰よりも彼女を愛している主人公。
ここから恋愛の真理を考察することができます。
男性が気になるのはその人の特徴的な部分。
前髪然り、他の人にはないような一風変わった所を好きになっているようです。
相手の個性ある部分を受け入れるとどんどん夢中になる…。
主人公の男性もこの傾向にハマっているようです。
それはもしかしたら、恋のきっかけでしかないのかもしれません。
彼にとって、今では前髪の長さなど関係ないのでしょう。
目を離すことができないのは、知れば知るほど彼女の魅力に取り憑かれてしまったから。
まるでそれは奈良美智が描くあの絵のように、彼の心に彼女の姿が焼き付いているのです。
彼にとって彼女は、唯一無二の存在なのでしょう。
代わりがいないと思えるのは、彼女の少し変わった部分が彼にとってはとても魅力的に思えるからなのです。